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トランプ関税

鉄鋼・アルミの25%関税、例外撤回の真の標的・中国には効果なし?

What Trump’s Steel Tariffs Mean for China

2025年2月12日(水)18時56分
ジェームズ・パーマー(フォーリン・ポリシー誌副編集長)
中国の鉄鋼メーカー、江蘇沙鋼集団の生産工場

中国の鉄鋼メーカー、江蘇沙鋼集団の生産工場(1月3日、江蘇省准安市)Photo by Costfoto/NurPhoto

<トランプ政権1期目〜バイデン前政権と続いた対中制裁の結果、中国からの直接の対米輸出はほとんどなくなっている。第三国経由の輸出にも網をかけるために世界はとばっちりを受けたようなものとも言えるのだが>

アメリカのドナルド・トランプ大統領は2月10日、鉄鋼およびアルミニウムの輸入品に25%の関税を課すと発表した。主たるターゲットは中国で、長年にわたる貿易戦争の一環だ。

だが、ここにはパラドックスがある。第1期のトランプ政権、ならびにジョー・バイデン前大統領のもとで課された関税によって、中国はすでに、アメリカに対して、鉄鋼あるいはアルミニウムを直接輸出することはほとんどなくなっているからだ。


 

それでいて中国は世界市場を支配しており、中国国内での過剰生産とデフレも相まって、アメリカ以外の国々には、ますます安価な中国製金属が大量に流入している。中国は、世界の鉄鋼生産の54%を、アルミニウムに至っては60%を生産している。その一部は、ベトナムなどの第三国で再梱包されたのち、最終的にアメリカに送られている。

中国が大量生産を続けていることから、カナダとメキシコは、自国で産出する金属を輸出に回し、国内の需要は中国から輸入した鉄鋼でまかなうことが可能になっている。

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