トランプ支持者の「優しさ」に触れて...ワシントンで見た、反対派との議論で「溝が埋まる」瞬間【トランプ集会ルポ】

A RECONCILIATION

2025年1月29日(水)15時03分
岡田光世(ニューヨーク在住作家)

穏やかに語り合うトランプ支持者と反トランプ派

穏やかに語り合うトランプ支持者と反トランプ派 MITSUYO OKADA

「でもトランプ支持者は、機能していない移民システムを変えたいと思っていないわ」と、女性の1人が反論した。

「システムを変えて合法的に移民を受け入れるべきと考える人は多いわ」と、私が答える。


「チェックなしに凶悪な犯罪者が国境を越えて入ってくるのは、私も嫌だわ」

「それは、共和党支持者の多くが言っていることよ」と私。

彼女らの1人が「じゃあ、私たちの声に耳を傾けたら、同じことを考えているって分かるのに」と笑って続けた。「こういう会話をマスコミは取り上げず、対立をあおっているのよ。『仲良くやっています』じゃニュースにならないもの」

「どうすれば、アメリカの分断を埋めることができるかしら」と、私が尋ねる。

「今、私たちがしているような会話をするのよ。意見やライフスタイルが異なる人たち、民主党、共和党、双方の支持者が顔を突き合わせて。どちらも想像しなかった共通点が見つかるわ」

別の女性が続ける。「草の根の運動よ。時間はかかるわ。まず、私たちがやらなきゃ。双方で。トランプ支持者だけを責めていては駄目。彼らも私たちも歩き始めた子供みたいにじだんだ踏んで『My way is the higher way.(私のやり方が一番よ)』と主張するばかりで、テーブルに着いて話し合う意志がない。違いが大きいように見えるけれど、妥協点もたくさん見いだせるのよ。穏やかに冷静に、会話しなきゃ」

と、そこへ「MAGA」「TRUMP」と書かれた帽子をかぶった男性2人がロビーに入ってきた。チェックインしている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国が対米報復関税、小麦などに最大15% 210億

ワールド

欧州委、8000億ユーロ規模の防衛計画提案 共同借

ビジネス

トランプ政権の関税措置発動、企業の不確実性は解消せ

ビジネス

トランプ関税「投資家に落ち着き」、日本への関心高い
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
2025年3月11日号(3/ 4発売)

ジャンルと時空を超えて世界を熱狂させる新時代ピアニストの「軌跡」を追う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Diaries』論争に欠けている「本当の問題」
  • 3
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 4
    アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政…
  • 5
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 6
    ニンジンが糖尿病の「予防と治療」に効果ある可能性…
  • 7
    バンス副大統領の『ヒルビリー・エレジー』が禁書に…
  • 8
    米ウクライナ首脳会談「決裂」...米国内の反応 「ト…
  • 9
    世界最低の韓国の出生率が、過去9年間で初めて「上昇…
  • 10
    ボブ・ディランは不潔で嫌な奴、シャラメの演技は笑…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天才技術者たちの身元を暴露する「Doxxing」が始まった
  • 4
    ニンジンが糖尿病の「予防と治療」に効果ある可能性…
  • 5
    富裕層を知り尽くした辞めゴールドマンが「避けたほ…
  • 6
    イーロン・マスクのDOGEからグーグルやアマゾン出身…
  • 7
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Di…
  • 8
    「絶対に太る!」7つの食事習慣、 なぜダイエットに…
  • 9
    アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政…
  • 10
    ボブ・ディランは不潔で嫌な奴、シャラメの演技は笑…
  • 1
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 9
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 10
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中