グリーンランド買収を巡るトランプ氏の野望と「中国問題」...識者3人が語る「北極圏の行方」
Donald Trump's Greenland Dream Has a China Problem
マーク・ナトール(アルバータ大学):中国との協力はグリーンランドの「広範な野心」の一部
中国はグリーンランドのシーフード輸出、特にエビやハリバット(オヒョウ)の重要な市場であり、これらはグリーンランド経済にとって不可欠な存在だ。
グリーンランドの政治家やビジネスリーダーは、経済的なつながりをさらに強化することを奨励しており、鉱業プロジェクトに興味を持った中国企業が何を提供できるかについての議論を進めている。また、インフラ、技術、科学的協力への投資に関しても中国と話し合いが行われている。さらに、グリーンランドは中国人観光客をより多く誘致することにも大きな可能性を見出している。
ただし、中国との協力は、グリーンランドの「広範な野心」という文脈の中で捉えられるべきだ。それは中国だけでなく、他の多くの国々との貿易関係や経済的パートナーシップを強化することに重点を置いている。
この優先事項は、グリーンランドが経済的な機会を得て貿易関係を多様化し、グローバル経済への参加を拡大し、デンマークや欧州連合市場への依存から脱却するために必要なものだ。
マーク・ナトール氏はアルバータ大学人類学部の教授であり、ヘンリー・マーシャル・トリー講座を担当している社会人類学者だ。グリーンランドでの研究経験を持ち、グリーンランド大学とグリーンランド気候研究センターの客員教授も務めている。