最新記事
トランプ2.0

グリーンランド買収を巡るトランプ氏の野望と「中国問題」...識者3人が語る「北極圏の行方」

Donald Trump's Greenland Dream Has a China Problem

2025年1月20日(月)13時20分
シェイン・クラウチャー

マーク・ナトール(アルバータ大学):中国との協力はグリーンランドの「広範な野心」の一部


中国はグリーンランドのシーフード輸出、特にエビやハリバット(オヒョウ)の重要な市場であり、これらはグリーンランド経済にとって不可欠な存在だ。

グリーンランドの政治家やビジネスリーダーは、経済的なつながりをさらに強化することを奨励しており、鉱業プロジェクトに興味を持った中国企業が何を提供できるかについての議論を進めている。また、インフラ、技術、科学的協力への投資に関しても中国と話し合いが行われている。さらに、グリーンランドは中国人観光客をより多く誘致することにも大きな可能性を見出している。

ただし、中国との協力は、グリーンランドの「広範な野心」という文脈の中で捉えられるべきだ。それは中国だけでなく、他の多くの国々との貿易関係や経済的パートナーシップを強化することに重点を置いている。

この優先事項は、グリーンランドが経済的な機会を得て貿易関係を多様化し、グローバル経済への参加を拡大し、デンマークや欧州連合市場への依存から脱却するために必要なものだ。


マーク・ナトール氏はアルバータ大学人類学部の教授であり、ヘンリー・マーシャル・トリー講座を担当している社会人類学者だ。グリーンランドでの研究経験を持ち、グリーンランド大学とグリーンランド気候研究センターの客員教授も務めている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

焦点:大混乱に陥る米国の漁業、トランプ政権が割当量

ワールド

トランプ氏、相互関税巡り交渉用意 医薬品への関税も

ワールド

米加首脳が電話会談、トランプ氏「生産的」 カーニー

ワールド

鉱物協定巡る米の要求に変化、判断は時期尚早=ゼレン
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジェールからも追放される中国人
  • 3
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中国・河南省で見つかった「異常な」埋葬文化
  • 4
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 5
    なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分か…
  • 6
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 7
    不屈のウクライナ、失ったクルスクの代わりにベルゴ…
  • 8
    アルコール依存症を克服して「人生がカラフルなこと…
  • 9
    最悪失明...目の健康を脅かす「2型糖尿病」が若い世…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えない「よい炭水化物」とは?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 7
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 8
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 9
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 10
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中