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中国経済

内幕を知ってゾッとする...中国で「60円朝食」が流行する深刻なワケ

中国の住宅在庫の処理「140兆円を上回る資金が必要」

これまでにも中国政府は金融緩和を実施し、その上で住宅市場の支援措置を推進してきた。5月に中央政府は、地方政府に優良な住宅開発案件をピックアップさせ、デベロッパーから買い取るよう指示を出した。それでも、目立った効果は出なかった。

国際通貨基金(IMF)は、中国の住宅在庫の処理には「140兆円を上回る資金が必要」と指摘している。しかし今のところ、中国政府はそこまでの規模の対策を打ち出していない。地方政府の財政悪化により、十分な対策が打てないとの指摘もある。


矢継ぎ早に発表された対策を見ても、基本的には金融緩和により需要を前倒しで取り込むことが主な目的になっている。その発想だけでは、不動産バブル崩壊の後遺症を解決するのは難しいはずだ。

米国、わが国やスウェーデンなど北欧の過去の教訓に基づくと、バブルが崩壊すると政府・中央銀行は債務返済能力を喪失した企業に公的資金を注入し、不良債権処理を進めることが必要不可欠である。それと同時に、利下げなど金融緩和を進め、公共事業も実施して経済全体に刺激をもたらす。

その上で重要なのが、政府の「成長戦略」である。産業のうち期待できる分野に経営資源が配分されるよう規制緩和し、民間企業のリスクテイクをサポートすることにより、持続的な景気回復が可能になる。

1990年代、わが国は財政支出の増加と金融緩和を実施したが、残念ながら不良債権処理は遅れた。構造改革の実行もできなかった。その結果、日本経済は「失われた30年」と呼ばれる長期の停滞に陥った。

不動産バブルが崩壊した中国も、本格的な不良債権処理は遅れている。中国では、地方政府の “隠れ債務” である地方融資平台の救済、再編も遅れた。今なお、地方政府は地方債の発行を増やし、当面の資金繰りの確保や住宅市場の支援策の資金を調達しようとしている。その状況下で金融緩和を進め融資を増やそうとしても、需要が持続的に増えることは難しいはずだ。

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