最新記事
台湾

日本生まれで無類の猫好き、米政界にパイプ。台湾副総統の蕭美琴はこんな人

HSIAO MEI-CH’IN

2025年1月10日(金)14時40分
練乙錚(リアン・イーゼン、経済学者)
蕭美琴(シアオ・メイチン)台湾副総統

アメリカ政界との人脈が「太すぎる」とも言われる蕭美琴(シアオ・メイチン)台湾副総統 CARLOS GARCIA RAWLINSーREUTERS

<アメリカで高等教育を受け、事実上の駐米大使に就任した際は猫4匹を連れて渡米した。安全保障をアメリカに依存する台湾のナンバー2。その外交手腕は?>

父は台湾人、母はアメリカ人。神戸で生まれ、台南で育った蕭美琴(シアオ・メイチン、53)はアメリカで高校に通い、高等教育を受け、台湾の行政府と地方政治でキャリアを積んできた。

こうした経歴と気さくな性格ゆえ、彼女は気難しい民進党の守旧派と若い世代を、そして台湾と友好国をつなぐ自然な架け橋となっている。


猫好きとして有名で、2020年には台湾の事実上の大使として猫4匹を連れて渡米。フェイスブックでは自らを「台湾戦猫(台湾の猫戦士)」と称し、中国の攻撃的な「戦狼」外交官と対比させている。

アメリカでは超党派の中国政策サークルで称賛されるほどの活躍をしたが、23年に台湾に戻り、総統選に出馬した頼清徳(ライ・チントー)を補佐する副総統候補として選挙戦に勝利した。ただしアメリカ政界との人脈が太すぎることから、野党陣営に「頼清徳の情報をアメリカ政府に流すスパイ」と揶揄されたこともある。

晴れて副総統となった蕭だが、この先は本格的に外交手腕が試されることになる。台湾は安全保障面でアメリカに大きく依存しているが、次期大統領のドナルド・トランプと折り合いをつけるのは容易でない。

首相就任前の石破茂が24年夏に議員団を率いて訪台し、蕭と会談するなど、ある程度まで日本の政治家との接点もある。

しかし蕭が訪日する機会はなさそうだ。出生地の神戸を私的に訪れるだけでも日中間の外交問題に発展し、東アジアの不安定化につながりかねないからだ。

国際移住者デー
すべての移住者とつくる共生社会のために──国連IOM駐日代表が語る世界と日本の「人の移動」
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

24年平均気温、産業革命以前から初の1.5度超上昇

ワールド

米、対ロシア制裁を大幅強化 エネルギー部門標的

ワールド

グリーンランド独立希望尊重を、トランプ氏とは話して

ビジネス

米シティ、25年も世界的株高継続と予想 1株当たり
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:中国の宇宙軍拡
特集:中国の宇宙軍拡
2025年1月14日号(1/ 7発売)

軍事・民間で宇宙覇権を狙う習近平政権。その静かな第一歩が南米チリから始まった

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ロシア兵を「射殺」...相次ぐ北朝鮮兵の誤射 退却も阻まれ「弾除け」たちの不満が爆発か
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」
  • 3
    トランプさん、グリーンランドは地図ほど大きくないんです
  • 4
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 5
    古代エジプト人の愛した「媚薬」の正体
  • 6
    装甲車がロシア兵を轢く決定的瞬間...戦場での衝撃映…
  • 7
    悲報:宇宙飛行士は老化が早い
  • 8
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    プーチンはシリア政権崩壊前からアサドの電話に出な…
  • 1
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分からなくなったペットの姿にネット爆笑【2024年の衝撃記事 5選】
  • 2
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵の遺族を待つ運命とは? 手当を受け取るには「秘密保持」が絶対
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」
  • 4
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 5
    ロシア兵を「射殺」...相次ぐ北朝鮮兵の誤射 退却も…
  • 6
    装甲車がロシア兵を轢く決定的瞬間...戦場での衝撃映…
  • 7
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 8
    仮想通貨が「人類の繁栄と自由のカギ」だというペテ…
  • 9
    トランプさん、グリーンランドは地図ほど大きくない…
  • 10
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊」の基地で発生した大爆発を捉えた映像にSNSでは憶測も
  • 3
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 4
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 5
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 6
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 7
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 8
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中