ウクライナの「禁じ手」の行方は?
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ゼレンスキー大統領に吉と出るか DIEGO RAVIERーHANS LUCASーREUTERS
<確実なのは、天然ガスをめぐる地政学が劇的に変化するということ>
ウクライナは年明けとともに、ロシア産の天然ガスをウクライナのパイプライン経由でEU諸国に輸送する契約を停止した。
ロシア国営ガスプロムとの5年契約が切れるのに伴う措置であり、ウクライナ側はこれでロシアに経済的打撃を与えられると歓迎しているが、果たしてそうなのか。
■【動画】ウクライナのパイプライン経由で輸送停止に関するフランスの報道 を見る
ある専門家は、ロシアがガス供給ルートを他国経由のパイプラインで代替しつつ、パイプラインに頼らない液化天然ガス(LNG)および天然ガスを原料とする窒素肥料の輸出を増やすとみる。
実際に窒素肥料のEUへの輸出量は近年増えており、LNGは中国での需要が高まっている。
とはいえ、今回の契約停止で天然ガスをめぐる地政学は劇的に変化するだろう。ロシアは輸出先を東に変え、欧州は輸入先を西、つまりアメリカに変えることになる。
ロシアのガス収益は減退するが、一方でLNG需要が世界的に高まることで欧州は輸入価格の高騰に苦しむ。これが双方が直面する新たな現実だ。