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ロシア

真の敵は中国──帝政ロシアの過ちに学ばない愚かさ

2024年12月31日(火)16時45分
S・C・M・ペイン(米海軍大学校教授)

工場や軍事基地、インフラを爆撃され、第2次大戦以来初めて国土が侵攻を受けた。さらにスウェーデンとフィンランドの加盟でNATOが勢いづき、バルト海は「NATOの湖」と化した。

たとえドナルド・トランプ次期米大統領が戦争を終結できたとしても、プーチンにこの損失は取り戻せない。

戦争の采配を誤り経済を破綻させ、無数の臣民を無駄死にさせた皇帝を、ロシアは失脚させた。

プーチンの側近はウクライナから手を引くよう大統領に進言するべきだが、ニコライの側近と同様に愚かな戦争を拡大させている。彼らがプーチンを支え続ける限り、中国の脅威は増大する。

中国がロシアに手を出すのは時間の問題だ。ロシアは冷戦時代の兵器をウクライナでほぼ使い尽くし、シベリアは中国の野望の前に無防備にさらされている。

シベリアの資源は中国にとって垂ぜんの的。石油や天然ガスや鉱物より重要なのが水だ。バイカル湖はベルギーよりも広く、世界の地表にある淡水の20%をたたえている。中国はこの水が欲しくてたまらない。

ウクライナ東部ドンバス地方の戦場

ウクライナ東部ドンバス地方の戦場 MAREK M. BEREZOWSKI-ANADOLU AGENCY/GETTY IMAGES

ナチスに代わる世紀の悪者になる

だがプーチンは敗北への道を突き進む構えらしい。

ウクライナの制圧にも政権交代にも失敗したロシアはブチャなどの都市で市民を虐殺し、家屋や町を破壊し、数万の子供をさらった。保護施設、病院、学校、博物館や発電所を空爆し、捕虜を裁判もせずに処刑し、拷問した。

ドニプロ(ドニエプル)川にあるカホフカ水力発電所の巨大ダムを決壊させ、ザポリッジャ原子力発電所を破壊すると脅した。地雷、トルコ製ドローン、弾道ミサイル、クラスター爆弾、滑空爆弾に、果ては北朝鮮兵まで使っている。

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