今、世界は現代版『ゲルニカ』だ!...「京都が体現する共存」から世界を見つめ直した
GUERNICA IS ALWAYS WITH US
「偉大な物語のヒーローたちは逃亡者だった」と、歴史家のパトリック・ブシュロンは書いている。「炎上し廃墟となったトロイアから夜陰に紛れて逃げたアイネイアスのように、逃げるか追放されたヒーローが今日の世界を創造したのだ」
それにしても今の政治潮流を見ると、世界は弱肉強食の法則に回帰しつつあるようだ。国際法は効力を失い、第2次大戦後に構築された国際協調の枠組みは崩れ去ろうとしている。
ヨーロッパ人の私たちは、今すぐ旧来の価値観を軸に一致団結しなければ、自分たちの大陸が真っ先にトランプ主義の新秩序の犠牲になることを痛いほど分かっている。
私の記憶にある限り、この1年は最悪の年だった。アルジェリア生まれのユダヤ人である私は、何十年もかけて少しずつアラビア語やヘブライ語の話者と対話を重ね、レバノン人、パレスチナ人、イスラエル人と友情を育んできた。
だからパレスチナ自治区ガザとレバノンで起きた醜悪な戦争にはわが身を引き裂かれる思いだ。アラブ人とユダヤ人は憎悪に駆られてにらみ合い、国際社会のあらゆる仲介の試みを無視している。
87年3月、ガザを訪れた際、私はこう記した。「ガザ市、人口11万5000人......ガザ地区、65万人。そのうち5万人が投獄されている」