イランの弱体化でトランプは中東安定化の好機を生かせるか

MIDDLE EAST

2024年12月26日(木)13時10分
デニス・ロス(ワシントン中近東政策研究所)

トランプ政権がサウジアラビアとイスラエルの関係改善を仲介したいなら、ヨルダン川西岸の入植地建設を進め、パレスチナ自治政府の崩壊を狙うネタニヤフ政権内の極右の動きに待ったをかける必要がある。同時に、機能不全に陥っているパレスチナ自治政府に改革を進めるよう強く働きかける必要もある。今ならサウジアラビアやUAEも改革推進の圧力をかけてくれるだろう。

直感に反するにせよ、2025年は中東情勢は安定に向かう可能性がある。もちろん、そこは中東のこと。物事はたいがい裏目に出る。イランは地域大国の座を取り戻そうと、核保有を急ぐかもしれない。ガザ戦争は終わらないかもしれず、フーシ派は海賊行為を続けるかもしれない。悪いカードを探せばキリがないが、トランプ率いる次期政権には挑戦のチャンスが与えられている。


イランの影響力低下をテコに中東の安定化を推進できるかどうか。それがこの政権の外交力を試す初期の最大のテストの1つとなる。

©Project Syndicate


newsweekjp20241226014148-dd017bf52fca96bcb4a90f1a11c8f196283d0084.jpgデニス・ロス
DENNIS ROSS
ブッシュ(父)およびクリントン政権下で中東和平交渉を担当。ヒラリー・クリントン国務長官(当時)の中東・東南アジア特別顧問。

20250211issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年2月11日号(2月4日発売)は「中国経済ピークアウト」特集。人類史上かつてない人口減で「アメリカ超え」に赤信号 [PLUS] DeepSeekの実力

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国、WTOに異議申し立て トランプ関税巡り

ワールド

米国務長官、トランプ氏のガザ復興案を擁護 「敵対的

ワールド

トランプ氏、米軍のガザ派遣にコミットせず 「所有」

ワールド

トランプ氏「誰もが気に入る」、波紋広がる「中東のリ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:中国経済ピークアウト
特集:中国経済ピークアウト
2025年2月11日号(2/ 4発売)

AIやEVは輝き、バブル崩壊と需要減が影を落とす。中国「14億経済」の現在地と未来図を読む

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 2
    「体が1日中だるい...」原因は食事にあり? エネルギー不足を補う「ある食品」で賢い選択を
  • 3
    教職不人気で加速する「教員の学力低下」の深刻度
  • 4
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    マイクロプラスチックが「脳の血流」を長期間にわた…
  • 7
    【USAID】トランプ=マスクが援助を凍結した国々のリ…
  • 8
    「僕は飛行機を遅らせた...」離陸直前に翼の部品が外…
  • 9
    AIやEVが輝く一方で、バブルや不況の影が広がる.....…
  • 10
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」を予防するだけじゃない!?「リンゴ酢」のすごい健康効果
  • 4
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 5
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 6
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 7
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 8
    「体が1日中だるい...」原因は食事にあり? エネルギ…
  • 9
    老化を防ぐ「食事パターン」とは?...長寿の腸内細菌…
  • 10
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中