インド、石炭火力発電所の脱硫装置義務化見直し...効果乏しいと判明
インド政府は国内の石炭火力発電所に脱硫装置の設置を義務づける計画の見直しに動いている。写真はニューデリーの石炭火力発電所の煙突。2017年7月撮影(2024年 ロイター/Adnan Abidi)
インド政府は、国内の石炭火力発電所に脱硫装置の設置を義務づける計画の見直しに動いている。政府が支援する研究調査で、大気汚染緩和の効果が乏しいことが分かったためだ。11月13日に開かれたアジャイ・クマール・スード政府首席科学顧問と関係省庁の会合に提出された文書をロイターが確認して分かった。
この計画でインドの540近い石炭火力発電所が2026年までに大気中に放出する二酸化硫黄を減らす排煙脱硫装置(FGD)の取り付けが必要だが、現時点の達成率は8%前後と極めて低い。
政府は以前、高額な外国の技術導入と人員確保が目標達成に向けたハードルになっていると説明していた。しかしニューデリーなどの大都市で世界最悪レベルの大気汚染が進む中で、政府による石炭火力発電所の排煙浄化の取り組みは待ったなしの状況と言える。
こうした中で文書によると、政府側は国産の電気集塵装置の導入を提案した。排煙から微粒子を除去できるこの装置の設置費用はFGDの5分の1に過ぎない。
文書では、複数の会合参加者からインドの発電所は、脱硫努力よりも肺の奥深くに入り込む微粒子の削減に注力するのが得策だと賛同する意見が出たことが示されている。
研究機関の調査では、インド産石炭に含まれる硫黄分の比率はわずか0.5%程度で、外国から輸入される石炭でも平均0.9%にとどまる。
会合参加者の1人は24日、ロイターに「インドの全ての都市が実際に苦しんでいるのは二酸化硫黄ではなく微粒子による汚染だ」と語った。
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