最新記事
東欧

親ロシア与党vs親EUの市民...ジョージアはロシアの「衛星国」になるのか? 「西側の決断」が鍵を握る

Georgia’s Maidan Moment

2024年12月11日(水)13時41分
イア・メウルミシュビリ(ジャーナリスト)
トビリシで放水砲を受けるデモ隊

抗議の声を圧殺するため、放水砲まで使われている(12月11日、トビリシ) AP/AFLO

<不正が疑われる議会選挙後に、与党がEU離れを鮮明にして市民の怒りが爆発>

ジョージアは今、岐路に立たされている。不正選挙の疑いが指摘されている10月の議会選で勝利した与党「ジョージアの夢」がEU加盟交渉を中断すると発表。多くの市民がこれに反発し、大規模な抗議デモが全土に広がっている。

この状況は2014年にウクライナで起きた「マイダン革命」を想起させる。ウクライナでも当時のビクトル・ヤヌコビッチ大統領がEUに背を向け、ロシアに擦り寄ったことで市民の怒りが爆発した。


治安当局は治安部隊を投入し、放水砲や催涙ガスを使用。ジャーナリストや活動家を逮捕するなど強権的な手法でデモを抑え込もうとしている。

親ロシアの「ジョージアの夢」は、選挙戦中にはEU加盟を推進すると約束していた。前党首で首相のイラクリ・コバヒゼはなぜ突然、22年に始まったEU加盟交渉を28年末まで凍結する方針を打ち出したのか。

理由は不明だが、旧ソ連崩壊時の混乱に乗じて蓄財した資産家で、与党の創設者でもあるビジナ・イワニシビリの意向が働いているのは確かだろう。

交渉中断を発表した11月28日の声明で、コバヒゼは自国を脅迫したとしてEUを非難した。同日、欧州議会は10月に行われたジョージアの議会選の投票プロセスは「自由でも公正でもなかった」と結論付け、選挙結果を無効とする決議を採択した。

それにより12月にはEU側からジョージアとの加盟交渉が打ち切られる見通しとなり、コバヒゼは相手が言い出す前に「交渉お断り」を宣言したのかもしれない。

自動車
DEFENDERとの旅はついに沖縄へ! 山陽・山陰、東九州の歴史文化と大自然、そして沖縄の美しい海を探訪するロングトリップ
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中