最新記事
台湾

台湾に韓国戒厳令を真似したい誘惑? 他人事ではない、復活した政争の危険なツール

Taiwan Military Reassures Public After South Korea's Martial Law Scare

2024年12月5日(木)16時58分
ライアン・チャン(チャイナニュースレポーター)
戒厳令下の韓国軍と市民

韓国、戒厳令を受けて国会に突入して活動を止めようとする軍隊の車両と抵抗する国民(12月3日、ソウル)Kim Jae-Hwan / SOPA Images via Reuters Connect

<民主主義国では韓国の戒厳令を批判する声が大きいが、過去に戒厳令を経験した台湾でも、戒厳令を擁護するかのような言論が出始めている>

周辺国に衝撃を与えた韓国での短時間の戒厳令の後、台湾軍は12月4日、「民主主義を守る」ことを改めて公に誓い、国民を安心させようと努めた。

【画像】不信をもたれたくない?「民主主義の味方」訴える台湾軍のX投稿

台湾国防省はXへの投稿で、「中華民国軍は献身的かつ勤勉に戦力を強化し、防衛に備えている」と述べた。中華民国は台湾の正式名称だ。

「能力、決意、自信をもって、われわれは民主主義を守り、祖国を守る」と同省は付け加えた。この投稿には、台湾軍の活動を示す合成画像が含まれており、そこには「民主主義を守ることはわれわれの義務である」という文が表示されている。

投稿自体は韓国の戒厳令の恐怖に言及していない。「民主主義を守り、祖国を守る」とは、台湾を威嚇するために台湾の近くに艦船や航空機を派遣して、哨戒活動や演習を行っている中国に対する言葉ともとれるのだが......。

韓国の尹錫烈(ユン・ソンニョル)大統領は3日、「親北朝鮮の反国家勢力」を根絶し、憲法上の自由秩序を守るという理由で、戒厳令を布告した。

尹は6時間後に命令を取り消したものの、40年ぶりに民主主義国家に戒厳令を敷いたことで、現在は弾劾の圧力に直面している。

自動車
DEFENDERの日本縦断旅がついに最終章! 本土最南端へ──歴史と絶景が織りなす5日間
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米加首脳が電話会談、トランプ氏「生産的」 カーニー

ワールド

鉱物協定巡る米の要求に変化、判断は時期尚早=ゼレン

ワールド

国際援助金減少で食糧難5800万人 国連世界食糧計

ビジネス

米国株式市場=続落、関税巡るインフレ懸念高まる テ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジェールからも追放される中国人
  • 3
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中国・河南省で見つかった「異常な」埋葬文化
  • 4
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 5
    なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分か…
  • 6
    アルコール依存症を克服して「人生がカラフルなこと…
  • 7
    不屈のウクライナ、失ったクルスクの代わりにベルゴ…
  • 8
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 9
    最悪失明...目の健康を脅かす「2型糖尿病」が若い世…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えない「よい炭水化物」とは?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 6
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 7
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 8
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 9
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中