【本誌独占インタビュー】トニー・ブレア英元首相が語る「中東和平への道」
BLAIR ON LEADERSHIP
本誌グローバル編集長のナンシー・クーパー、デジタル出版担当副社長のクリストファー・ロバーツ、コンテンツ・ディレクターのバーニー・ヘンダーソンが、米大統領選が間近に迫っていた10月、ロンドンでブレアに話を聞いた(インタビューの内容には、誌面の制約と明瞭性の確保のために編集を加えてある)。
──あなたは最近、中東和平は実現可能だと語っている。その考えは現時点でも変わっていないか。
変わっていない。私は数週間前にもイスラエルを訪れた。首相退任後で271回目だと思う。私は(中東を)とてもよく訪れている。こうしたことを25年以上続けてきた。
このテーマは、2つの異なる視点で見るべきだと思う。まず、パレスチナ自治区ガザやレバノン、そしてイランなど、目の前の危機に目を向けなくてはならない。そしてその上で、「中東の全体像はどうなっているか」を問う必要がある。中東に希望があるかどうかは、そうした全体像次第だからだ。
その全体像で重要なのは、中東の国々が宗教的寛容性のある社会に転換できるかどうかだと思う。宗教的寛容性のある社会とは、政治と宗教を一体化させない社会のことだ。
もう1つ重要なのは、近代的な経済を築けるかどうか。若い世代が経済面で現代世界の一員だと感じることができるようにし、ルールに基づく、活力ある経済をつくり、起業家精神の持ち主がビジネスを始めて成功できるようにするべきなのだ。