最新記事
荒川河畔の「原住民」⑪

元自衛官、米軍特殊部隊員...海外に別荘を持つ「大金持ち」からホームレスになった波乱万丈人生

2024年11月13日(水)19時55分
文・写真:趙海成

親の後を継いで自衛官に...一時は冬季五輪の選手候補にも

兄貴にこのような父親がいたことから、彼が小さい頃から自衛官になることを志していてもおかしくないことが分かる。

戦後の日本では、軍隊は自衛隊に改称された。兄貴にとっては、父の仕事を受け継ぐことができ、自分の夢を実現することもでき、官職を得ることにもなるので、喜んで志したのだろう。

家族と相談せず、中学卒業後間もなく自衛隊に志願して、18歳の時、自衛官になった。

彼のお父さんは彼に「中学卒業後、マグロ漁船の仕事をしたいか、それとも自衛隊に入りたいか」という質問をしたことがあるという。

その時、彼ははっきり「自衛隊に入りたい」と答えた。軍人だったお父さんは聞いて嬉しかった。実は、息子に自分の後継者になってほしかったのだ。

兄貴は幼い頃から父について格闘技(拳法)を学び、入隊すると特殊部隊に選ばれた。

本人によれば、在隊中、あらゆる面で優れていたという。

冬季五輪には「バイアスロン」という競技種目があるが、この種目は北欧人の軍事訓練に起源がある。選手が銃を担いで雪山に登り、クロスカントリースキーをしながら、射撃をする。選手の体力とスキーのテクニック、射撃能力を競り合うのだ。

この大会には現役軍人の参加が許可されている。兄貴は北海道出身で、3歳からスキーを習い始め、特殊部隊に入った後射撃の練習にも励んだために、両技能ともハイレベルだった。日本の自衛隊員として選抜を受け、80年代に開催された冬季五輪で「バイアスロン」の選手候補になったという。

しかし残念ながら、その冬季五輪の開幕前に彼はインフルエンザに感染して肺炎にかかり、その貴重な出場機会を失った。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエル首相らに逮捕状、ICC ガザでの戦争犯罪

ビジネス

米新規失業保険申請は6000件減の21.3万件、予

ワールド

ロシアがICBM発射、ウクライナ発表 初の実戦使用

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部の民家空爆 犠牲者多数
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 2
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッカーファンに...フセイン皇太子がインスタで披露
  • 3
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 4
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 5
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 6
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    習近平を側近がカメラから守った瞬間──英スターマー…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中