最新記事
アフリカ

衰退するアメリカのアフリカ外交...トランプ氏の大統領復帰で一変か

2024年11月13日(水)13時20分
4月、ニジェール・ニアメで米軍の撤退を求める人々

11月11日、 アフリカ大陸は米国の影響力が衰退する一方、中国やロシアとの同盟関係を強めており、ジハード(聖戦)勢力による反乱も拡大している。写真は4月、ニジェール・ニアメで米軍の撤退を求める人々(2024年 ロイター/Mahamadou Hamidou)

アフリカ大陸は米国の影響力が衰退する一方、中国やロシアとの同盟関係を強めており、ジハード(聖戦)勢力による反乱も拡大している。現地の米大使館は人員不足が深刻で、トランプ米次期大統領は大陸の急速な変化を理解するのに苦心するだろう。

ロイターが米政府の現職と元高官8人に話を聞き、米政府監視機関がまとめた報告書も検証したところ、バイデン政権下で在アフリカ大使館の人員とリソースが枯渇し、米国の目標達成に支障が出ている実態が浮かび上がった。


 

米国は過去4年間、アフリカ外交で数々の挫折を経験した。ニジェールで主要な諜報基地を失ったのがその一例だ。同国のサヘル地域ではロシアを後ろ盾とした軍事政権が発足し、世界のテロの温床となりつつあるが、米国は同地域で足がかりを失ってしまった。

ギャラップが今年実施した世論調査では、アフリカでは中国の人気度が米国を追い抜き、米国はソフトパワー面でも後退している。

米中央情報局(CIA)の元アナリストで、民主党・共和党両政権下でアフリカ関連のさまざまな任務を担当したキャメロン・ハドソン氏は、リソース不足が誤りを招いたと指摘。昨年4月のスーダンでの戦争勃発が寝耳に水だった実態や、空軍基地を巡るニジェール軍事政権との交渉失敗を例示した。

現在は戦略国際問題研究所(CSIS)に所属するハドソン氏は、米国は各国の政治力学や軍事力学を理解する上で「大きな盲点がある」とし、「これは米国の外交が直面する大きな問題であり、特にアフリカでは深刻だ」と指摘した。

米国務省はロイターの質問に答え、アフリカ駐在のポストは学校や医療の不足に加え、多くの勤務地が僻地にあることが理由で敬遠されると説明。困難なポストへの勤務を奨励するため、金銭的および非金銭的なインセンティブを用意していると付け加えた。

アフリカにおける米国の衰退を示す兆候は他にもある。

社会的価値創造
「子どもの体験格差」解消を目指して──SMBCグループが推進する、従来の金融ビジネスに留まらない取り組み「シャカカチ」とは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシアがICBM発射、ウクライナ空軍が発表 初の実

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部の民家空爆 犠牲者多数

ビジネス

米国は以前よりインフレに脆弱=リッチモンド連銀総裁

ビジネス

大手IT企業のデジタル決済サービス監督へ、米当局が
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 2
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 3
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 4
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 5
    「ワークライフバランス不要論」で炎上...若手起業家…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    習近平を側近がカメラから守った瞬間──英スターマー…
  • 8
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 9
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 10
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国」...写真を発見した孫が「衝撃を受けた」理由とは?
  • 4
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    建物に突き刺さり大爆発...「ロシア軍の自爆型ドロー…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶり…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中