中国の言う「台湾は中国」は本当か......世界が中国に警告を発し始めた
IS A PASSAGE FOR TAIWAN IN SIGHT?
「意図的な未確定状態」が米政府版「一つの中国」政策の核
こうしたいわば「意図的な未確定状態」は、アメリカ政府版の「一つの中国」政策(中国に台湾は含まない)の核を成してきた。日本でその曖昧さは一般大衆に広く理解されていないが、政治指導者や現代中国の研究者にはよく知られ、受け入れられている。野田佳彦首相(当時)は2012年、「(1952年のサンフランシスコ)平和条約第2条に従い、台湾に対する全ての権利、権原及び請求権を放棄しており、台湾の領土的な位置付けに関して独自の認定を行う立場にない」と日本の立場を繰り返した。
サンフランシスコ平和条約とアルバニア決議が台湾の領有権について結論を下すのを避けたことは賢明だった。この方針は、これまで70年にわたり、台湾が中国の専制体制の手に落ちることを防ぐ上で大きな役割を果たしてきた。
しかし、いま中国は途方もない力を持つようになっていて、しかも台湾を併合したいという意欲を隠そうとしない。こうした点を考えると、台湾の民主体制が中国に押しつぶされる危険はないのか。
確かに、その危険はあるが、そうした危うい状態から抜け出せる日は遠くない。
さまざまなデータを見ると、中国の「奇跡の経済成長」は既に終わった。政府統計でも、若者の失業率は20%に迫っている。社会は以前より貧しくなり、暴力沙汰が起きやすくなった。人口も減少し始め、社会の高齢化も急速に進んでいる。中国の経済成長を支えてきた欧米諸国は、中国のデカップリング(切り離し)に転じつつある。
要するに、超大国・中国は──そもそも二流の超大国にすぎなかったのだが──既に盛りを過ぎ、あとは落ちるだけなのだ。