最新記事
移民

トランプ次期米大統領、不法移民を大量強制送還する公算大

2024年11月8日(金)10時13分
メキシコから米国境を目指す移民

トランプ次期米大統領にとって喫緊の課題は移民対策で、不法移民の大量強制送還命令が実際に発出される――。最新のロイター/イプソス世論調査で、国民がこうした見方をしていることが分かった。写真はメキシコから米国境を目指す移民ら。11月7日、同国南部ウィストラで撮影(2024年 ロイター/Daniel Becerril)

トランプ次期米大統領にとって喫緊の課題は移民対策で、不法移民の大量強制送還命令が実際に発出される――。最新のロイター/イプソス世論調査で、国民がこうした見方をしていることが分かった。

調査は大統領選でトランプ氏の勝利が確定した直後から7日にかけて実施。来年1月20日の大統領就任から最初の100日で最優先に取り組むべき問題を聞いたところ「移民対策」と回答した割合が全体の25%と、次の「所得格差」(約14%)や「税制」(12%)に比べてずっと多かった。


 

トランプ氏が不法移民の大量強制送還を命じる公算が大きいと答えたのは全体のおよそ82%で、共和党員と民主党員の傾向に差はなかった。ただそうした命令に懸念があるとしたのは民主党員が82%、無党派が40%だったのに対して、共和党員のおよそ90%は懸念しないとの考えを示した。

選挙戦を通じてトランプ氏は不法移民によると伝えられる犯罪に注目するよう訴えた。たださまざまな調査によると、米国生まれの人々に比べて移民の犯罪率が高いという統計的証拠は見つかっていない。

移民保護団体などは、強制送還は費用がかさみ、分断を招く上に非人道的だと警告している。

しかしトランプ氏は7日のNBCニュースのインタビューで、どれほど費用がかかろうとも大量強制送還の公約を履行すると改めて明言。「これは金額の問題ではない。われわれには本当に選択の余地などないのだ」と強調した。

調査で不法移民を強制送還するまでの期間、収容施設に拘置する方法についてどう思うかと質問した結果、こうした措置に賛成したのは共和党員が約58%だが、民主党員は15%にとどまった。反対は民主党員が75%前後で、共和党員は31%。

トランプ氏は迅速な強制送還実施のため、1798年制定の戦時法「適正外国人法」の適用も示唆している。ただそうなれば妥当性を巡る法廷闘争に発展することがほぼ確実視されている。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


20241217issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年12月17日号(12月10日発売)は「韓国 戒厳令の夜」特集。世界を驚かせた「暮令朝改」クーデター。尹錫悦大統領は何を間違えたのか?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


自動車
DEFENDERで走破する! 東海、北陸、近畿、中国、四国と1850km超のロングトリップ
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

日経平均2カ月ぶり4万円、日米ハト派織り込みが押し

ワールド

EU、防衛費の共同調達が優先課題=次期議長国ポーラ

ワールド

豪11月失業率は3.9%、予想外の低下で8カ月ぶり

ワールド

北朝鮮メディア、韓国大統領に「国民の怒り高まる」 
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:韓国 戒厳令の夜
特集:韓国 戒厳令の夜
2024年12月17日号(12/10発売)

世界を驚かせた「暮令朝改」クーデター。尹錫悦大統領は何を間違えたのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 2
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達した江戸の吉原・京の島原と並ぶ歓楽街はどこにあった?
  • 3
    男性ホルモンにいいのはやはり脂の乗った肉?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 5
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 6
    ノーベル文学賞受賞ハン・ガン「死者が生きている人を…
  • 7
    韓国大統領の暴走を止めたのは、「エリート」たちの…
  • 8
    「男性ホルモンが高いと性欲が強い」説は誤り? 最新…
  • 9
    「糖尿病の人はアルツハイマー病になりやすい」は嘘…
  • 10
    統合失調症の姉と、姉を自宅に閉じ込めた両親の20年…
  • 1
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 2
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、妻の「思いがけない反応」...一体何があったのか
  • 4
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 5
    国防に尽くした先に...「54歳で定年、退職後も正規社…
  • 6
    朝晩にロシア国歌を斉唱、残りの時間は「拷問」だっ…
  • 7
    「男性ホルモンが高いと性欲が強い」説は誤り? 最新…
  • 8
    男性ホルモンにいいのはやはり脂の乗った肉?...和田…
  • 9
    人が滞在するのは3時間が限界...危険すぎる「放射能…
  • 10
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼ…
  • 9
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中