どちらが勝っても日本に「逆風」か...トランプvsハリス、日本経済にとって「まだマシ」なのは?

SHIFTING AMERICAN WINDS

2024年11月1日(金)14時29分
加谷珪一(経済評論家)

UAWの組合員たち

大きな政治力を持つUAWは国外メーカーにも労働組合参画を促している JEFF KOWALSKYーBLOOMBERG/GETTY IMAGES

もっとも、今の為替相場はアメリカ側要因ではなく、日本側の要因で動きやすくなっており、最終的にドル円相場がいくらになるのかは、日銀の金融政策次第だ。

一方、トランプ氏は減税も強く主張しているので、インフレと相まって株価は上昇しやすい。日本の株式市場はアメリカ市場との連動制が高いことに加え、今はある種の円安バブル相場になっている。


将来の反動は大きいだろうが、トランプ氏が勝った場合、バブル的相場がしばらく継続するだろう。

中間層の底上げ狙うハリス

一方でハリス氏が大統領に就任した場合、基本的にバイデン政権の路線を継承する可能性が高いので、トランプ氏と比較すると大きな変化は生じにくい。

ただ、候補者がジョー・バイデン大統領からハリス氏に代わり、ハリス氏はよりリベラル色が強い政治家であることから、バイデン氏よりも経済への影響は大きくなったといえるだろう。

ハリス氏は「機会の経済」を標榜しており、中間層の底上げを狙った政策を打ち出している。大きな柱としては、児童税額控除の拡大を中心とした中間層減税、食料品価格の抑制、住宅市場改革の3つである。

中間層と富裕層の格差を是正するため、ハリス氏は子供を持つ世帯や低所得層を対象に、最大6000ドルの税額控除を実施するとしている。また多くの庶民がインフレに苦しんでいることから、より積極的な物価対策を実施したい意向である。

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