最新記事
米大統領選

投票日まであと1週間...米大統領選「5つの争点」を徹底解説 独自調査で見えた「最大の争点」は?

SURVEY SAYS…

2024年10月30日(水)14時22分
ニューズウィーク米国版編集部

経済

投票をするクマと牛

ILLUSTRATION BY BRITT SPENCER

共和党のドナルド・トランプ支持者の4分の3以上は、アメリカ経済が間違った方向に向かっていると考えている。専門家によれば、そのせいで民主党のカマラ・ハリスは負けるかもしれない。

インフレは落ち着き、金利は下がり始めているが、10月時点の本誌の調査では、共和党寄りの有権者の79%が経済の現状に否定的だった。この数字は昨年9月時点と同じだ。一方、民主党寄りの有権者で否定的な見方はわずか23%で、昨年9月時点に比べて16ポイントも減っている。


民主党支持者では、3年前より今のほうが暮らし向きが良くなったと考える人の割合が昨年9月の33%から今年10月の43%へと増えている。

しかし共和党支持者では、バイデン政権下で以前より悪くなったと考える人が多い。昨年7月にはトランプ支持者の66%が、トランプ政権時代の20年7月よりも悪いと答えていた。ちなみに今年10月には76%で、実に10ポイントも増えている。

1980年の大統領選で民主党の現職ジミー・カーターに挑んだ共和党候補ロナルド・レーガンは国民に「あなたの暮らしは4年前より良くなったか?」と問い、勝利を手にした。

本誌の調査を担当したレッドフィールド&ウィルトンのフィリップ・バン・シェルティンガに言わせると、同じ質問をぶつけられたらハリスは苦しい。

「前回の20年大統領選はトランプに対する国民投票という意味合いが強く、僅差で『トランプ以外』派が勝利した。あれから4年たち、『トランプ以外』を経験した今、国民はトランプとトランプ以外(それがジョー・バイデンかハリスかは関係ない)を比較できる。

各種の世論調査でハリスとトランプは大接戦とされているが、レーガンの問いに関しては明確な答えが出ている。つまり、アメリカ人の多くは4年前よりも暮らしが悪くなったと感じている」

テキサス・クリスチャン大学のキース・ギャディ教授(政治学)によると、ハリスの勝利は有権者が経済の問題を現職大統領のバイデンになすりつけるか、それとも現職副大統領の彼女にも責任ありとみるかどうかに懸かっている。

「アメリカ経済は悪い方向に向かっていると感じている人たちが、その責任はバイデンにありと考えてくれるか。ハリスにとってそこが問題だ」

有権者全体を見渡すと、昨年7月の時点では47%が「3年前より暮らし向きが悪い」と答えていた。今年10月の調査では、3年前より貧乏になったと感じている人が48%。わずか1ポイントだが増えている。

一方、「良くなった」とする人は3年前と比べて28%から25%に減少し、「変わらない」は3ポイント増の27%だった。

「賃金はほぼインフレに追い付いているが、住居費や食費、交通費といった必須品目の値上がりが続いているため生活は苦しい」と、エコノミストのサム・クーンは言う。「インフレが鈍化しても、物価水準の上昇で購買力は低下を続けており、多くの人は以前の生活水準を維持できなくなっている」

──アリス・ハイアム

社会的価値創造
「子どもの体験格差」解消を目指して──SMBCグループが推進する、従来の金融ビジネスに留まらない取り組み「シャカカチ」とは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシア、中距離弾でウクライナ攻撃 西側供与の長距離

ビジネス

FRBのQT継続に問題なし、準備預金残高なお「潤沢

ワールド

イスラエル首相らに逮捕状、ICC ガザで戦争犯罪容

ビジネス

貿易分断化、世界経済の生産に「相当な」損失=ECB
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中