「理性的で賢く堅実だ」石破首相、 独自路線の「安全保障政策」を米国務省の元日本部長はどう見たか
The Importance of Collective Security
メアは石破政権の安保政策を「非常に楽観的に見ている」と言う DAVID MAREUILーPOOLーREUTERS
<「アジア版NATO」創設に、日米地位協定の改定......石破新首相の「安全保障政策」の評価と課題を、アメリカ国務省の元日本部長ケビン・メアに聞く>
自民党総裁選で勝利した石破茂が総理大臣に就任した。政治の信頼回復を目指しつつ、経済では物価高対策やデフレ完全脱却に向けて岸田文雄前首相の政策を継承しそうだが、安全保障では日米地位協定の改定や「アジア版NATO」創設など、岸田より独自の踏み込んだ発言で日本の専門家から批判されてもいる。
「アジア版NATO」はアメリカから見て本当にあり得ないのか。石破を古くから知る米国務省の元日本部長ケビン・メアに、ジャーナリストの山田敏弘が聞いた。
──石破首相が誕生した。率直にどんな感想を持ったか?
私は13年前に米国務省を退職したが、在日アメリカ大使館で勤務している際は政治や軍事の局長を、その後は日本部長を務めた。石破は自民党内で国家安全保障の専門家のような存在と捉えられており、私は彼と多く議論した。
石破は理性的で非常に賢く、堅実な政策を取ってきた。私は政権について非常に楽観的だ。日米同盟と安全保障政策を大変よく理解しているからだ。
日本のここ数年の方向からそれず、安倍晋三元首相が2012年12月からの第2次政権で行ってきた多くの改革と安全保障政策を継続すると思う。当時、石破は自民党の幹事長だったが、集団的自衛権の行使など基本的な安全保障政策の議論を積極的に行いそれが新しい国家安全保障戦略になったのを覚えている。