真の狙いは「世界支配」...トランプを「神に選ばれし者」と信じるキリスト教右派の集会を覗いてみたら【潜入ルポ】

Trump as God’s Chosen One

2024年10月22日(火)18時11分
モリー・オルムステッド(スレート誌記者)

新カリスマ運動の集会で指導者たちの話に耳を傾ける福音派の信者ら

MOLLY OLMSTEADーSLATE

それから1時間半、ウォルナウは聴衆(そして、彼によるとライブ配信を見ている10万人の視聴者)に向けて週末のセミナーの予告をした。

彼はキリスト教徒として「霊的戦い」に従事するように呼びかけた。これは、熱心な祈りや賛美、信仰の表明を通じて悪の力を打ち負かすという宗教的実践の一種だ。新カリスマ運動はこうした儀式を、自分たちが戦う悪に対し身体的に、かつ接近して行うと、より効果的としている。


だから20年の大統領選の結果が公式に認定される前に、ウォルナウの運動の指導者たちは首都ワシントンを目指したのだ。

トランプの大統領選出を妨げる悪の勢力に、できるだけ近づいて祈らなければならないと彼らは考えた。ほかにも多くの教派のキリスト教徒が、この使命に駆られてワシントンに向かった。

ウォルナウのような預言者や伝道師は、サタン(悪魔)の軍勢と戦う神の軍隊の将軍だ。彼らは信者を大量に動員し、超自然的な領域で戦略的な戦いに挑む。

ペンテコステ派の教会の中には、フリーメイソンやニューエイジの精神世界、悪魔主義といったオカルト的な力に対し、霊的な戦いを挑むという考え方もある。

新カリスマ運動もオカルトとの対決を楽しんでいるところはあるが、彼らの真の狙いは国家レベル、最終的には地球レベルで、俗世を支配することだ。祈りによって市民や社会の制度から悪魔の力を一掃し、キリスト教社会を実現して維持する人々で埋め尽くそうというのだ。

金融
日本のウェルスマネジメントは欧米とどう違う?...MUFGが「今こそ必要」と考える理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

再送-米国株式市場=ナスダック続伸、企業決算を注視

ワールド

イスラエル、ヒズボラ指導者後継候補サフィエディン師

ワールド

米国務長官「従来の人道支援は不十分」、イスラエル首

ワールド

ゼレンスキー氏「北朝鮮派兵に背を向けず対応を」 同
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:米大統領選 イスラエルリスク
特集:米大統領選 イスラエルリスク
2024年10月29日号(10/22発売)

イスラエル支持でカマラ・ハリスが失う「イスラム教徒票」が大統領選の勝負を分ける

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 2
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」ものはどれ?
  • 3
    逃げ場はゼロ...ロシア軍の演習場を襲うウクライナ「ATACMS」攻撃、無防備な兵士たちを一斉爆撃
  • 4
    トルコの古代遺跡に「ペルセウス座流星群」が降り注ぐ
  • 5
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア…
  • 6
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の…
  • 7
    「ハリスがバイデンにクーデター」「ライオンのトレ…
  • 8
    ウクライナ兵捕虜を処刑し始めたロシア軍。怖がらせ…
  • 9
    近づく米大統領選、激戦地「ジョージア州とノースカ…
  • 10
    「ウクライナ核兵器製造」説を煽るロシアのメドベー…
  • 1
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の北朝鮮兵による「ブリヤート特別大隊」を待つ激戦地
  • 2
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア兵の正面に「竜の歯」 夜間に何者かが設置か(クルスク州)
  • 3
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 4
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料…
  • 5
    目撃された真っ白な「謎のキツネ」? 専門家も驚くそ…
  • 6
    ウクライナ兵捕虜を処刑し始めたロシア軍。怖がらせ…
  • 7
    逃げ場はゼロ...ロシア軍の演習場を襲うウクライナ「…
  • 8
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 9
    裁判沙汰になった300年前の沈没船、残骸発見→最新調…
  • 10
    北朝鮮を訪問したプーチン、金正恩の隣で「ものすご…
  • 1
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 2
    「地球が作り得る最大のハリケーン」が間もなくフロリダ上陸、「避難しなければ死ぬ」レベル
  • 3
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の北朝鮮兵による「ブリヤート特別大隊」を待つ激戦地
  • 4
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア…
  • 5
    ウクライナに供与したF16がまた墜落?活躍する姿はど…
  • 6
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶり…
  • 7
    漫画、アニメの「次」のコンテンツは中国もうらやむ…
  • 8
    エジプト「叫ぶ女性ミイラ」の謎解明...最新技術が明…
  • 9
    ウクライナ軍、ドローンに続く「新兵器」と期待する…
  • 10
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中