ゼレンスキー氏「勝利計画」公表、25年中の戦争終結視野
ウクライナのゼレンスキー大統領は16日、ウクライナ議会で演説し、対ロシア戦争を終結させる「勝利計画」を発表した。16日撮影(2024年 ロイター/Andrii Nesterenko)
ウクライナのゼレンスキー大統領は16日、ウクライナ議会で演説し、対ロシア戦争を終結させる「勝利計画」を発表した。直ちに計画に着手すれば、遅くとも2025年中に戦争を終結させられる可能性があると述べた。
計画は友好国の支援に依存する5つの柱からなり、北大西洋条約機構(NATO)加盟交渉への無条件での招待や、具体的な武器支援が含まれる。西側諸国にはウクライナの天然資源開発に関与する機会を提供するほか、ウクライナ軍がNATOの安全保障を強化し、欧州駐留米軍の一部に取って代わることが可能になるとした。
ゼレンスキー氏は「われわれはパートナーと共に状況を変え、戦争を終わらせなければならない。プーチン(ロシア大統領)が何を望んでいるかに関係なく、ロシアが和平を余儀なくされるよう全員で状況を変えなければならない」と訴えた。
ロシアに「誠実な」交渉を強いるためにこの計画が必要との考えを示し、「パートナー国から『交渉』という言葉を聞くが、『正義』という言葉はあまり聞こえない。ウクライナは外交にオープンだが、誠実なものでなければならない」と改めて主張した。
ロシアの脅威からウクライナを守り、ロシアの軍事力を破壊するため「核によらない包括的な抑止策」を構築することも提案した。詳細は明らかにしなかったが、公表できない付属文書があると述べた。
西側がウクライナの天然鉱物資源に投資し、ロシアの攻撃から共同で守る役割や、戦後復興の約束も想定していると説明した。
ポドリャク大統領府長官顧問は非公表の付属文書について「前線から遠く離れた兵たんや貯蔵施設、生産拠点の破壊に必要な兵器」の詳細が記されていると現地メディアで述べた。
ゼレンスキー氏は米欧製の長距離射程兵器を使ったロシア領内への攻撃を容認するよう改めて呼びかけ、必要な武器や防空の「明確なリスト」に言及。ロシア領内で作戦を継続する重要性も強調した。
同氏は17日にブリュッセルで開かれる欧州連合(EU)首脳会議に出席し、勝利計画を説明する。
NATOのルッテ事務総長は勝利計画について「強力なシグナル」としながらも、現状では計画全体を支持するとは言えないと述べた。
ロシア大統領府はゼレンスキー氏の計画について詳しいコメントをするのは時期尚早としながらも、ウクライナは「頭を冷やし」、政策の無益さに気づく必要があるとの立場を示した。
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