最新記事
ウクライナ戦争

ゼレンスキー氏「勝利計画」公表、25年中の戦争終結視野

2024年10月17日(木)13時15分
ウクライナ議会で「勝利計画」を発表するゼレンスキー大統領

ウクライナのゼレンスキー大統領は16日、ウクライナ議会で演説し、対ロシア戦争を終結させる「勝利計画」を発表した。16日撮影(2024年 ロイター/Andrii Nesterenko)

ウクライナのゼレンスキー大統領は16日、ウクライナ議会で演説し、対ロシア戦争を終結させる「勝利計画」を発表した。直ちに計画に着手すれば、遅くとも2025年中に戦争を終結させられる可能性があると述べた。

計画は友好国の支援に依存する5つの柱からなり、北大西洋条約機構(NATO)加盟交渉への無条件での招待や、具体的な武器支援が含まれる。西側諸国にはウクライナの天然資源開発に関与する機会を提供するほか、ウクライナ軍がNATOの安全保障を強化し、欧州駐留米軍の一部に取って代わることが可能になるとした。

ゼレンスキー氏は「われわれはパートナーと共に状況を変え、戦争を終わらせなければならない。プーチン(ロシア大統領)が何を望んでいるかに関係なく、ロシアが和平を余儀なくされるよう全員で状況を変えなければならない」と訴えた。

ロシアに「誠実な」交渉を強いるためにこの計画が必要との考えを示し、「パートナー国から『交渉』という言葉を聞くが、『正義』という言葉はあまり聞こえない。ウクライナは外交にオープンだが、誠実なものでなければならない」と改めて主張した。

ロシアの脅威からウクライナを守り、ロシアの軍事力を破壊するため「核によらない包括的な抑止策」を構築することも提案した。詳細は明らかにしなかったが、公表できない付属文書があると述べた。

西側がウクライナの天然鉱物資源に投資し、ロシアの攻撃から共同で守る役割や、戦後復興の約束も想定していると説明した。

ポドリャク大統領府長官顧問は非公表の付属文書について「前線から遠く離れた兵たんや貯蔵施設、生産拠点の破壊に必要な兵器」の詳細が記されていると現地メディアで述べた。

ゼレンスキー氏は米欧製の長距離射程兵器を使ったロシア領内への攻撃を容認するよう改めて呼びかけ、必要な武器や防空の「明確なリスト」に言及。ロシア領内で作戦を継続する重要性も強調した。

同氏は17日にブリュッセルで開かれる欧州連合(EU)首脳会議に出席し、勝利計画を説明する。

NATOのルッテ事務総長は勝利計画について「強力なシグナル」としながらも、現状では計画全体を支持するとは言えないと述べた。

ロシア大統領府はゼレンスキー氏の計画について詳しいコメントをするのは時期尚早としながらも、ウクライナは「頭を冷やし」、政策の無益さに気づく必要があるとの立場を示した。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20250121issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年1月21日号(1月15日発売)は「トランプ新政権ガイド」特集。1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響を読む


※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防

ワールド

アングル:トランプ氏のカナダ併合発言は「陽動作戦」
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲うウクライナの猛攻シーン 「ATACMSを使用」と情報筋
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 9
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    大麻は脳にどのような影響を及ぼすのか...? 高濃度の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中