ハリス氏とトランプ氏の災害対応「大きな違い」とは?...ハリケーン直撃で注目
気候変動の危険性を長年訴えてきたハリス氏は、9月のトランプ氏との討論会で、自然災害の増加によって住宅保険への加入が難しくなっている事例があることを認めた。
大手保険会社は山火事やハリケーンなどの災害増加を受け、災害多発地域からの撤退や住宅保険料の大幅値上げに踏み切っている。
バイデン氏は、気候変動が社会的に疎外された人々に特に大きな打撃を及ぼしていることを認識し、対応措置を講じてきたとアイゼンマン氏は言う。たださらに多くの対策が必要だとも付け加えた。
「ハリス氏が少なくともバイデン氏と同じくらい積極的に事に臨み、できればそれ以上の行動を取ることを期待している」と語る。
プロジェクト2025
トランプ氏の大統領在任中、FEMAと災害救援はしばしば論争の的になり注目を集めた。
2021年の監察総監の報告書は、トランプ政権が17年のハリケーン「マリア」襲来に絡むプエルトリコへの支援金200億ドルの支払い遅延に関する調査を妨害したと結論づけた。
また2019年にハリケーン「ドリアン」が米南東部を進んでいた際、トランプ氏はハリケーンの予想進路にアラバマ州が入るよう油性マーカーで加工されたとみられる地図を示した。これは同州が直撃されるという誤った主張を同氏が行った後だった。
トムソン・ロイター財団はトランプ氏陣営に、FEMAと災害対応に関する計画について質問したが、回答はなかった。
トランプ氏の姿勢はともかく、保守派は以前から、国土安全保障省に属するFEMAは巨大化し過ぎて任務の遂行が難しくなっていると主張。ヘリーンのような災害後の復旧支援にあたっては、州や地域の一次救助者の権限を強化する方が望ましいとしている。
共和党の2024年綱領は米国のエネルギー自給に言及しているが、気候変動や災害救援に関する具体的な内容には踏み込んでいない。
保守系シンクタンクのヘリテージ財団が作成した「トランプ政権」の政策構想「プロジェクト2025」は、米国立気象局(NWS)が「予報業務を完全に商業化する」ことを提案している。
この文書はトランプ氏陣営にとって望ましくない政治的注目を集め始めたため、陣営は正式にプロジェクト2025との関係を否定した。しかしプロジェクトの著者リストにはトランプ前政権にいた人物が多数含まれており、ハリス氏陣営は、プロジェクトとトランプ氏との結び付きを強調している。
前出のアイゼンマン氏は、トランプ氏が1期目から方針を転換し、気候変動を優先課題にするかもしれないという望みを棄てていないが、転換する場合の動機は「自身の政治的な力を強める効果があると考えた場合」だと予測。気候変動対策を求める世論は、トランプ氏に方針展開を促すほどには高まっていないと指摘した。
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