最新記事
異常気象

「地球が作り得る最大のハリケーン」が間もなくフロリダ上陸、「避難しなければ死ぬ」レベル

Hurricane Milton Could be Storm Tampa Has Been Dreading: 'Our Katrina'

2024年10月9日(水)20時40分
アリス・ヒグハム(USニュースレポーター)
メキシコ湾からフロリダ半島に接近する巨大ハリケーン「ミルトン」

強い勢力を保ったままメキシコ湾からフロリダ半島に上陸するとみられる巨大ハリケーン「ミルトン」(10月9日) CIRA/NOAA/Handout via REUTERS

<史上最大級のハリケーン「ミルトン」がフロリダ半島に接近。2005年にニューオリンズを破壊した「カトリーナ」並みの被害を出す恐れも>

フロリダ州タンパの住民は、メキシコ湾で発生した100年に1度の大型ハリケーン「ミルトン」の襲来に備えて多くが避難している。当局は「避難しなければ死ぬと思え」と最大級の警告を発している。

米国立ハリケーンセンター(NHC)の10月8日(現地時間)朝の情報によると、ミルトンは人口約40万人のタンパの南西約950キロに位置し、東北東に進んでいる。9日の夜に上陸すると予想されており、高潮のピークではタンパの浸水深は4.5メートルに達すると予想されている。

【動画】「なぜ逃げなかったのか?」と後で言われたくない...避難の大渋滞、「ミルトン」の勢力予想

「フロリダ州西海岸の警戒区域では、9日には風雨がはげしくなり、早ければ9日の午後にはハリケーンが上陸すると予想される」と、NHCは発表した。タンパが位置するヒルズボロ郡は、最も危険度が高い区域ゾーンAとその次に危険度が高いゾーンBに住む人々に強制避難命令を出している。

「これは命の危険にかかわる可能性が高い状況であり、住民は地元当局の勧告に従い、避難指示が出た場合は直ちに避難すること」とNHCは警告した。

当局や気象専門家は、避難区域から時間内に脱出できなかった人の中に死傷者が出ると警告している。「これは文字通り壊滅的な被害が予想される事態だ。大げさな表現なしに言えば、避難区域にとどまることを選択すれば、死ぬことになる」と、タンパのジェーン・キャスター市長は警告した。

警戒が必要な高潮の危険

気象学者のブライアン・ベネットは、今回のハリケーンの危険度を、2005年8月にメキシコ湾岸一帯を襲い、1300人以上の死者を出したハリケーン・カトリーナになぞらえた。

「これはカトリーナの再来になるかもしれない」と、彼はXに投稿した。「気象学的見地から、大型ハリケーンの上陸は、タンパ湾岸地域にとって最悪のシナリオだ」

当初、台風の強さを示す5段階で最強カテゴリー5と評価されていたミルトンは、8日に一旦カテゴリー4に格下げされたが、その後勢力を盛り返して5に戻っている。たとえ勢力が多少落ちても、高潮(嵐の際の海水面の上昇)は、依然として高いままである可能性が強い。

「上陸が近づくにつれて勢力が若干弱まる可能性はあるが、それでも懸念すべきなのは水の勢いだ」と、ベネットは言う。「フロリダの海岸付近で嵐の勢いがわずかに弱まるという予報に惑わされ、高潮の危険を甘くみることがあってはならない」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

プーチン氏がトランプ氏に伝言、「慎重な楽観主義」あ

ビジネス

独2月CPI改定値、前年比+2.6%へ減速 ECB

ビジネス

伊ウニクレディトの独コメルツ銀株取得、ECBが予想

ビジネス

中国新規銀行融資、2月は予想以上に減少
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
特集:日本人が知らない 世界の考古学ニュース33
2025年3月18日号(3/11発売)

3Dマッピング、レーダー探査......新しい技術が人類の深部を見せてくれる時代が来た

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 2
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ世代の採用を見送る会社が続出する理由
  • 3
    【クイズ】世界で1番「石油」の消費量が多い国はどこ?
  • 4
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 5
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 6
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 7
    SF映画みたいだけど「大迷惑」...スペースXの宇宙船…
  • 8
    「紀元60年頃の夫婦の暮らし」すらありありと...最新…
  • 9
    113年間、科学者とネコ好きを悩ませた「茶トラ猫の謎…
  • 10
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 1
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 2
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦している市場」とは
  • 3
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は中国、2位はメキシコ、意外な3位は?
  • 4
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
  • 5
    白米のほうが玄米よりも健康的だった...「毒素」と「…
  • 6
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 7
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMA…
  • 8
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 9
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 10
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 9
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 10
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中