最新記事
ウクライナ戦争

黒海に浮かぶ「要衝」、ガス掘削施設からロシア軍を撃退...ウクライナ軍「海上の猛攻撃」映像を公開

Ukraine Targets Black Sea Rig in Night Raid Footage

2024年10月4日(金)18時19分
ブレンダン・コール
ウクライナが黒海のガス掘削施設からロシア軍を撃退

写真はイメージです Artur Synenko/Shutterstock

<黒海にあるガス掘削施設群「ボイコ・タワー」は重要な戦略的資産となっているが、現在はウクライナがロシアから支配権を奪還したとされている>

ウクライナ軍とロシア軍が、黒海のガス掘削施設付近で戦闘を繰り広げた場面だとされる映像が公開された。この施設をめぐっては、ロシアの本格的なウクライナ侵攻が始まって以降、両国による激しい争いが繰り返されている。動画には、炎を上げる標的に向けて兵士たちが無数の銃弾を撃ち込むシーンのほか、爆発音も収められている。

■【動画】ウクライナ軍、黒海での「海戦」を撮影...海上の「戦略拠点」からロシア軍を撃退した、猛攻撃の様子を公開

映像は9月29日、ウクライナの報道機関TSNが公開した(撮影日は不明で、検証はされていない)。「独占報道」と記されているこの映像は、クリミア半島付近で夜間に撮影されたものとされている。キャプションには、「ウクライナ軍はペトロ・ゴドバネツからロシア軍を排除することに成功した」(翻訳)とある。

ウクライナ・ニュース・ライブも同じ映像をXに掲載し、「黒海での夜間襲撃を受け、GUR(ウクライナ国防省情報総局)の兵士らが、燃えている掘削施設『ペトロ・ゴドバネツ』に向けて12.7ミリ機関銃を発射している」と伝えた。

一方、この映像をXに投稿したロシアとウクライナの戦争に関する情報を英訳する独立メディア・プロジェクト「WarTranslated」は、「ロシアが支配する黒海のガス生産施設の1つであるペトロ・ゴドバネツで、襲撃が試みられた」と書いている。

「国家国境警備隊の特殊部隊『DOZOR』とGURの部隊が任務に当たっている」とWarTranslatedは説明している。

基地、ヘリパッド、ミサイルシステムの役割も担う重要施設

ペトロ・ゴドバネツは、2014年のロシアによるクリミア併合後、親ロシアのクリミア当局によって奪取され、2023年9月にウクライナが奪還したと発表した4つのガス掘削施設のうちの1つだ。黒海北西部に位置し、クリミアとオデーサの間にある掘削施設群「ボイコ・タワー」は、誰が支配しているのか詳細は明らかになっていない。

ボイコ・タワーは、戦争が始まった際に戦闘の舞台となったスネーク島の近くに位置するため、重要な戦略的資産となっており、戦力展開のための基地、ヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)、長距離ミサイルシステムの機能も担っている。

トルコのイスタンブールに拠点を置く独立系海事コンサルティング会社「ボスポラス・オブザーバー」のヨリュク・ウシュクは、今回何が起きたのかは不明だが、この掘削施設は以前から非常に不安定で、整備もされていないと本誌に語った。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ドル/円、148円台前半に上昇 強い米雇用統計受け

ワールド

EUが中国製EV関税発動へ、加盟国の支持獲得 協議

ビジネス

中国、EUのEV関税採決に反発 協議は継続

ビジネス

インフレ率は2%目標に向け推移、来年末までに安定へ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:大谷の偉業
特集:大谷の偉業
2024年10月 8日号(10/ 1発売)

ドジャース地区優勝と初の「50-50」を達成した大谷翔平をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 2
    【独占インタビュー】ロバーツ監督が目撃、大谷翔平が「花開く」瞬間...「彼はロボットではなくチームメイト」
  • 3
    ウクライナに供与したF16がまた墜落?活躍する姿はどこに
  • 4
    NewJeansミンジが涙目 夢をかなえた彼女を待ってい…
  • 5
    アラスカ上空でロシア軍機がF16の後方死角からパッシ…
  • 6
    米軍がウクライナに供与する滑空爆弾「JSOW」はロシ…
  • 7
    サッカーユニから胸を「まる出し」、下は穿かず...人…
  • 8
    年収600万円、消費者金融の仕事は悪くなかったが、債…
  • 9
    原点は「ナチスの純血思想」...オーストリアで自由党…
  • 10
    8日間のはずが8カ月に...宇宙飛行士の「足止め騒動」…
  • 1
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 2
    ウクライナに供与したF16がまた墜落?活躍する姿はどこに
  • 3
    漫画、アニメの「次」のコンテンツは中国もうらやむ日本の伝統文化? カギは大手メディアが仕掛ける「伝検」
  • 4
    ウクライナ軍、ドローンに続く「新兵器」と期待する…
  • 5
    エコ意識が高過ぎ?...キャサリン妃の「予想外ファッ…
  • 6
    ワーテルローの戦い、発掘で見つかった大量の切断さ…
  • 7
    【独占インタビュー】ロバーツ監督が目撃、大谷翔平…
  • 8
    大谷翔平と愛犬デコピンのバッテリーに球場は大歓声…
  • 9
    【クイズ】「バッハ(Bach)」はドイツ語でどういう…
  • 10
    南洋のシャチが、強烈な一撃でイルカを「空中に弾き…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 3
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレイグの新髪型が賛否両論...イメチェンの理由は?
  • 4
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 5
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
  • 6
    ウクライナに供与したF16がまた墜落?活躍する姿はど…
  • 7
    漫画、アニメの「次」のコンテンツは中国もうらやむ…
  • 8
    国立西洋美術館『モネ 睡蓮のとき』 鑑賞チケット5組…
  • 9
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢…
  • 10
    ウクライナ軍、ドローンに続く「新兵器」と期待する…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中