最新記事
ウクライナ情勢

米軍がウクライナに供与する滑空爆弾「JSOW」はロシア製よりはるかにスマート

What Are JSOWs? Long Range US Glide Bombs Handed to Ukraine

2024年10月3日(木)21時24分
マヤ・マララ
米空母キティホークに積まれたJSOW

米空母キティホークに積まれたJSOW(左)(2003、ペルシャ湾) REUTERS

<アメリカの最新の支援パッケージでウクライナに供与されるハイテク滑空爆弾の性能は>

アメリカは、9月26日に発表した3億7500万ドルに上る軍事支援パッケージの一環として、滑空誘導爆弾「JSOW」をウクライナに供与する。

【動画】実射、JSOWの破壊力

JSOWは「統合スタンドオフ兵器(Joint Standoff Weapon)」の訳。

軍事情報専門サイト「TWZ.com」によれば、最大射程約100キロ、重量約500キロの翼付き爆弾で、低高度で発射すれば、敵の防空網をかいくぐれるという。

ある専門家によれば、ロシアがウクライナに対して使用し、大きな戦果を上げた滑空爆弾よりもハイテクで、1発50万ドルする。

F16戦闘機から発射できで、格納式の翼を備えており、100キロ以上先の目標にも命中させられると、ウクライナのニュースメディア「RBCウクライナ」は伝えている。

ステルス機のような特徴

爆弾はGPSによって目標付近まで飛び、最後は赤外線画像センサーで標的を感知し着弾する。電波妨害も効かない。いわばステルス機のような特徴を持ち、ロシアの防空システムにとっては撃墜がより難しい、とTWZ.comは指摘する。

ジョー・バイデン大統領はホワイトハウスの報道声明で、「ウクライナの長距離攻撃能力を強化するため、私はウクライナに統合スタンドオフ兵器(JSOW)長距離爆弾を供与すると決めた」と述べた。

誘導爆弾や精密爆弾の歴史は、第二次大戦までさかのぼるが、RBCウクライナ放送によれば、JSOWはアメリカの空海軍によって開発され、1999年に正式に運用が開始された。今ではオーストラリア、フィンランド、ギリシャ、ポーランド、シンガポール、トルコなどの国々が採用している。

航空専門家のヴァレリー・ロマネンコはRBCの取材に応じ、米国製滑空爆弾の利点について、ロシア製の空中誘導爆弾として知られる「KAB」への対策になると説明した。「ロシアは、能力は標準的だが種類の異なる多数のKABを保有している。JSOWは、ロシア製よりハイテクの巡航爆弾だ」

(翻訳:ガリレオ)

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 5
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 8
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 10
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中