最新記事
中国

愛する息子の食事に薬をかけて...... 中国女優、我が子の悩みにとった行動とは?

2024年10月2日(水)18時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

息子と一緒にグラビア撮影をする鄧莎。Z.TOPMagazine China / YouTube

<いつの世も子どもの成長を願うのは親として当たり前だが......>

中国で有名な女優が11歳の息子の食事に「身長を伸ばす」薬を加えたことで大きな注目を集めたが、専門家は健康上の問題を警告している。香港のサウスチャイナモーニングポストが報じた。

クラスメイトより20cm低い「ビッグ・リンジ」

中国の人気テレビドラマに出演し、SNSの微博(ウェイボー)で700万人のフォロワーを誇る女優、鄧莎(デン・シャ、38歳)は、息子のために栄養価の高い料理を作っている動画を公開した。調理をする鄧は「身長を伸ばす薬」の粉末を振りかけた。

彼女の息子はニックネームが「ビッグ・リンジ」といい、身長が146cm。だが名前に反して、彼は平均身長が160〜170cmというクラスの中で最も低いのだという。
鄧とともに有名なリアリティ番組『スーパーママ』に出演した息子は、愛らしく礼儀正しい態度で、視聴者の印象に残った。

それだけに鄧の「身長を伸ばす薬」を振りかけるビデオは、中国のネット上でアッという間にトップニュースとなり、微博での再生回数は1億回を超えた。

だが、彼女が使った「身長を伸ばす薬」の有効性を裏付ける証拠はなく、具体的な商品名やその成分などは公表されていない。中国では彼女が使ったもの以外にも「身長促進剤」として子供向けの健康サプリメントが販売されており、それらの多くはビタミンDとアミノ酸のL-リジンが含まれており、通常1本あたり200~400元(約4000~8000円)で販売されている。

だが、国家医療製品管理局はこれらの「身長を伸ばす薬」と呼ばれるサプリメントや医療機器を承認していない。そのような効果を謳う製品はすべて虚偽の宣伝をしている可能性が高く、これらの商品を使用することは子どもの健康を危険にさらす可能性がある。

中国の医師たちは、身長を伸ばすサプリメントを子どもに使用しないよう、一般の人々に強く警告している。浙江省の小児科医は上海テレビに「これらの製品は一時的に成長を促すかもしれないが、子供の成長板を早期に閉じてしまい、様々な副作用を引き起こす可能性がある」と述べた。この医師は、鄧の息子の身長は子供の正常範囲内であると強調した。さらにこの医師は、子供の身長は主に遺伝に影響され、バランスの取れた食事と日光からの十分なビタミンDによって効果的にサポートできると指摘した。

ネット上では、鄧への支持と批判が交錯し、さまざまな論争が交わされた。あるネットユーザーは「息子の身長について過度に心配する必要はない」と鄧にアドバイスし、男子は通常、中学生になると急激に成長するものだと指摘した。

しかし、鄧はこの発言に「もし身長が伸びなかったら? その時にはもう手遅れなのです」と反論した。

また、別の人は鄧に連帯感を示し、こうコメントした。「親なら誰だって、自分の子供には健康で強く育ってほしいと願うものだ。母親は息子に危害を加えることを望まない」。

中国では鄧の例に限らず身長を伸ばそうとする人たちのさまざまな試みが報告されている。中国中部・河南省に住む29歳の男性は、身長が164cmしかないことに劣等感を感じて10万元(約205万円)で脚を長くする手術を受けたが、左右の脚が不揃いになったという。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ミャンマー地震の死者1000人超に、タイの崩壊ビル

ビジネス

中国・EUの通商トップが会談、公平な競争条件を協議

ワールド

焦点:大混乱に陥る米国の漁業、トランプ政権が割当量

ワールド

トランプ氏、相互関税巡り交渉用意 医薬品への関税も
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...スポーツ好きの48歳カメラマンが体験した尿酸値との格闘
  • 4
    最古の記録が大幅更新? アルファベットの起源に驚…
  • 5
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 6
    「炊き出し」現場ルポ 集まったのはホームレス、生…
  • 7
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 10
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 6
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 7
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中