最新記事
米大統領選

「冗長で曖昧、意味不明」カマラ・ハリスの初のインタビューを私はこう見る

Lousy Interview Bodes Ill For Harris-Walz Campaign | Opinion

2024年9月5日(木)21時30分
ポール・ド・ケノイ(パームビーチ自由協会会長)
カマラ・ハリス

カマラ・ハリスは「価値観は変わっていない」と言うが(9月4日、ニューハンプシャー州の選挙集会で) Brian Snyder-REUTERS

<大統領候補となって初めてメディアの独占インタビューに応じたハリスは、深い論理の迷宮にはまり込んでいた>

「私の政策上の観点や決定において最も大切で最も重要なのは、私の価値観は変わっていないということだ」

11月の米大統領選挙に向けて民主党から大統領候補に指名されたカマラ・ハリス副大統領が、8月29日、CNNのダナ・バッシュ記者による独占インタビューに応じた。

この中で、民主党の候補者指名を辞退したジョー・バイデン大統領から後継に指名された後、一部の政策をめぐって以前とスタンスを変えた理由について問われたハリスは、長々と言葉を並べ立ててこう答えたのだ。

世界で最も大きな権力を持つアメリカ大統領になろうとしている人物に対して極めて適切な質問をしたにもかかわらず、バッシュはどこか気まずそうな様子だった。

一方のハリスは、バッシュがどんな問題についても自分を厳しく追及してくることはないだろうと確信している様子だった。

おそらくハリスは、今回のインタビューの主な目的が「メディアの追及を回避している」という批判から自分の選挙活動を守ることだと知っていたのだろう。

だから彼女は、自分の「価値観」が何か、5週間前に事実上の大統領候補になる前に掲げていた政策と大きく異なる政策を支持するようになった理由は何か、あるいは、アメリカ国民が自分を信じるべき理由について説明することはなかった。

わずか27分間、おまけに副大統領候補も同席

CNNはインタビューの放送前に90秒の予告編を公開し、その中でもハリスの冗長で曖昧な回答が紹介されていたが、インタビュー全編はわずか27分間だった。

■90秒間のインタビュー予告編はこちら

この時間内にハリスの選挙運動の様子を伝える映像も流され、また副大統領候補であるティム・ウォルズもインタビューに異例の同席をしていたため、ハリスの実際の登場時間はもっとずっと短かった。

同じCNNのアンカー、アンダーソン・クーパーが皮肉を込めて指摘したように、ウォルズの同席はおそらく、ハリスが事前に知らされていない質問にさらされる時間を減らすためだったのだろう。

しかもハリスは、口を開けば、選挙活動の中で避けようとしてきたはずの「罠」に何度も自ら足を踏み入れた。

「大統領就任の初日に何をするか」というバッシュの質問に対して、ハリスは「中間層を支援し、強化する」と答え、アメリカ人は「新たな道に進む準備ができている」と確信しているとつけ加えた。

就任初日の1日で何ができるのかを具体的に述べることはなく、むしろ彼女が副大統領として支えてきたことを「誇りに思う」とインタビューで後に語った現政権による4年間に及ぶ統治を経ても、「中間層が支援を必要としている」理由は何なのかという当然の疑問を引き起こした。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシアがICBM発射、ウクライナ発表 初の実戦使用

ワールド

国際刑事裁判所、イスラエル首相らに逮捕状 戦争犯罪

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部の民家空爆 犠牲者多数

ビジネス

米国は以前よりインフレに脆弱=リッチモンド連銀総裁
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 2
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 3
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 4
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 5
    「ワークライフバランス不要論」で炎上...若手起業家…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    習近平を側近がカメラから守った瞬間──英スターマー…
  • 8
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 9
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 10
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国」...写真を発見した孫が「衝撃を受けた」理由とは?
  • 4
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    建物に突き刺さり大爆発...「ロシア軍の自爆型ドロー…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶり…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中