最新記事
SNS戦略

無関心な若者が熱狂、SNSを知り尽くしたハリス陣営成功の方程式

The Genius Behind Kamala Harris' Social Media Strategy

2024年8月21日(水)18時39分
アリス・コリンズ
民主党大統領候補カマラ・ハリス副大統領

ネットでもリアルでも11月まで勢いは続くか?(8月20日、ウィスコンシン州ミルウォーキーの選挙集会で話すハリス)REUTERS/Marco Bello

<カマラ・ハリスが若者向けのSNSで快進撃。上の世代からはなかなかアプローチが難しいZ世代のハートもがっちり掴んだ。偶然ではない。背景には、ハリス陣営の卓越したSNS戦略があるという>

カマラ・ハリス米副大統領のソーシャルメディアを利用した選挙活動は絶好調だ。それは偶然の産物ではなく、きわめて明確な対若者戦略に基づいて行われているようだ。

【動画】再生回数361万を超えたカマラ・ハリスについてのファン映像まとめ

7月21日、ジョー・バイデン大統領が退任し、ハリスが今年11月の大統領選挙において民主党候補となることが発表されると、カマラの選挙チームはすぐに動いた。数時間のうちに、@BidenHQのソーシャルメディア・ページは、@KamalaHQに姿を変えた。これまでのところ、ハリスに関する投稿はTikTokとインスタグラムでおおいにバズっている。

実際、CNNの数字によると、@BidenHQのTikTokへの投稿は335回で、1回あたりの再生回数は約50万回だった。これに対して、@KamalaHQは7月から1投稿あたり平均600万再生されている。

ライトファインダー・パブリックリレーションズの創設者グレイス・マコーミックが本誌に語ったところによると、ハリス陣営が若い有権者をターゲットにソーシャルメディアを活用していることは間違いない。彼らは、Z世代(1997年から2012年生まれの若者)の心に訴える方法について「微妙なところまで理解」を示しているという。

リアルタイムで同調

「ブラット(悪ガキ)・サマー」のような若者の流行に乗ったり、ココナッツの樹の絵文字をミーム化して人気を集めたり、とハリスのキャンペーンはZ世代とのつながりを築き、彼女の人気を高めている、とマコーミックは言う。

「ハリスのSNS戦略が成功している理由のひとつは、即応性と対応力だ。Z世代はリアルタイムの交流や本物を重視している。ハリス陣営は、選挙運動がこの瞬間の若者文化に同調していることを示すために、トレンドのトピックに素早く乗ってきた」

「このアプローチは政治家に人間味を与え、親近感を抱かせる。Z世代と同じデジタル空間に参加し、同じ言葉を使うことで、世代間のギャップを埋め、政治家は遠い存在だという固定観念を取り払うことができる」

ハリス陣営は、オンラインで若い有権者を取り込むだけでなく、それぞれのプラットフォームに合わせたコンテンツを用意している。TikTokではキレのある動画で注目を集め、インスタグラムでは舞台裏を見せる趣味のいいコンテンツを提供している。

バズりやすいコンテンツを提供し、さらに各プラットフォームが提供するユニークな機能をフルに活用すれば、SNSの効果を最大限に発揮できる。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

仏当局、ディープシークに質問へ プライバシー保護巡

ビジネス

ECB総裁、チェコ中銀の「外貨準備にビットコイン」

ビジネス

米マスターカード、第4四半期利益が予想上回る 年末

ワールド

米首都近郊の旅客機と軍ヘリの空中衝突、空域運用の課
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ革命
特集:トランプ革命
2025年2月 4日号(1/28発売)

大統領令で前政権の政策を次々覆すトランプの「常識の革命」で世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 4
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 5
    東京23区内でも所得格差と学力格差の相関関係は明らか
  • 6
    ピークアウトする中国経済...「借金取り」に転じた「…
  • 7
    空港で「もう一人の自分」が目の前を歩いている? …
  • 8
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 9
    トランプのウクライナ戦争終結案、リーク情報が本当…
  • 10
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果が異なる【最新研究】
  • 3
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 4
    緑茶が「脳の健康」を守る可能性【最新研究】
  • 5
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 6
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 7
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 8
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 9
    煩雑で高額で遅延だらけのイギリス列車に見切り...鉄…
  • 10
    日鉄「逆転勝利」のチャンスはここにあり――アメリカ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 7
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 8
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 9
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 10
    戦場に「杖をつく兵士」を送り込むロシア軍...負傷兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中