最新記事
民族

環太平洋の諸民族のルーツは...「実は台湾」 マダガスカルからニュージーランドまで、対中国の心強い味方に?

2024年8月27日(火)17時00分
栖来ひかり(在台湾文筆家)
「太平洋オーストロネシア合同収穫フェスティバル」の準備をする台湾原住民族の人々

「太平洋オーストロネシア合同収穫フェスティバル」の準備をする台湾原住民族の人々 REUTERS

<太平洋に広がる「オーストロネシア語族」の祖先は皆、台湾原住民族であるという説が、近年ますます有力になっている>

西はマダガスカル島、東はイースター島、南はニュージーランドまで広大な範囲に及ぶ太平洋の「オーストロネシア語族」。

実は彼らの祖先は皆、台湾原住民族(先住民)に行き着くとの研究が、最近ますます有力になっている。約5000年前から黒潮に乗って、台湾を起点として各地に広がっていったというのだ。


それに合わせ、台湾原住民族を祖系とするニュージーランドのマオリと台湾・台東のアミ族の交流や、台東長濱で古代カヌーによる航海術を復活させようと発足した「長濱船団」とハワイの伝統航海カヌー・ホクレアとの文化交流も始まっている。

さらに、今年6月にハワイで開催された太平洋諸島の先住民文化を祝う世界最大級のイベント「フェスティバル・パシフィック・アート&カルチャー」の台湾館では、オーストロネシア語族の「家」というテーマで展示が行われた。


漢民族より前から台湾に暮らしてきた先住民の文化的独自性は、中国との差別化を図る意味でも注目される。しかも、その仲間が各地に存在するとなればなお心強い。

外交関係のある国がどんどん減っている台湾だけに、環太平洋全体に広がる「一族」の関係強化は重要戦略だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル、要人の暗殺計画阻止と発表 軍はレバノン

ビジネス

任天堂、ポケットペア社を提訴 「パルワールド」が特

ビジネス

新藤経済財政相、20日の日銀決定会合に出席=内閣府

ビジネス

ユーロ圏の経常黒字、7月は縮小
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
2024年9月17日/2024年9月24日号(9/10発売)

ユダヤ人とは何なのか? なぜ世界に離散したのか? 優秀な人材を輩出した理由は? ユダヤを知れば世界が分かる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    クローン病と潰瘍性大腸炎...手ごわい炎症性腸疾患に高まる【新たな治療法】の期待
  • 2
    「ポケットの中の爆弾」が一斉に大量爆発、イスラエルのハイテク攻撃か
  • 3
    北朝鮮で10代少女が逮捕、見せしめに...視聴した「禁断の韓国ドラマ」とは?
  • 4
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢…
  • 5
    浮橋に集ったロシア兵「多数を一蹴」の瞬間...HIMARS…
  • 6
    岸田政権「円高容認」の過ち...日本経済の成長率を高…
  • 7
    「トランプ暗殺未遂」容疑者ラウスとクルックス、殺…
  • 8
    地震の恩恵? 「地震が金塊を作っているかもしれない…
  • 9
    キャサリン妃とメーガン妃の「ケープ」対決...最も優…
  • 10
    米大統領選を左右するかもしれない「ハリスの大笑い」
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは...」と飼い主...住宅から巨大ニシキヘビ押収 驚愕のその姿とは?
  • 3
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢な処刑」、少女が生き延びるのは極めて難しい
  • 4
    キャサリン妃とメーガン妃の「ケープ」対決...最も優…
  • 5
    【クイズ】自殺率が最も高い国は?
  • 6
    クローン病と潰瘍性大腸炎...手ごわい炎症性腸疾患に…
  • 7
    北朝鮮で10代少女が逮捕、見せしめに...視聴した「禁…
  • 8
    ロシア空軍が誇るSu-30M戦闘機、黒海上空でウクライ…
  • 9
    エリザベス女王とフィリップ殿下の銅像が完成...「誰…
  • 10
    世界に離散、大富豪も多い...「ユダヤ」とは一体何な…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 3
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 4
    「棺桶みたい...」客室乗務員がフライト中に眠る「秘…
  • 5
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレ…
  • 6
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 7
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
  • 8
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
  • 9
    止まらない爆発、巨大な煙...ウクライナの「すさまじ…
  • 10
    ウクライナ軍のクルスク侵攻はロシアの罠か
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中