シシ政権下で初の外相人事、エジプトの外交政策は変わるのか?
新行政首都(NAC)でレバノン外相との会談に臨んだエジプトのアブデルアーティ新外相(8月6日) Amr Abdallah Dalsh-REUTERS
<今月24日・25日に東京で開催されるTICAD閣僚会合に出席するアブデルアーティ新外相とはどんな人物か>
先月、エジプトで3期目を迎えたシシ大統領が内閣改造を行った。首相は変わらずマドブリ氏で、組閣を指示。約30人の閣僚のうち半数以上が交代したが、2014年から外相を務めていたシュクリ外相の後任には、奇想天外とも言える人事で、アブデルアーティ駐欧州連合(EU)大使が任命された。これまでのエジプトの歴代外相は、暗黙の了解と言ってもいいほどに米国大使を経験した人でなければならなかったのだ。アブデルアーティ氏は米国で参事官を経験しているが、大使の経験はない。駐日エジプト大使館で勤務し、外務省報道官や駐ドイツ大使などを歴任した。
この内閣改造に伴った新外相の抜擢や、エジプトの外交政策への影響について疑問の声が上がっている。今回の交代について、エジプトの政治評論家は「これまでとは違う新たな目線での登用」と考える一方で、「エジプト外交の方針に影響を与えるものではない」とも強調した。
これまでもこれからも「地域の安定の柱」と強調
アブデルアーティ新外相の起用について、元エジプト外務次官補のアリ・アル・ハフニ氏は、「アブデルアーティ氏は外務省で育った人材であり、外務省が扱うこれまでの諸問題や長年にわたるエジプトの外交政策を熟知している」と述べ、「エジプトと欧州のパートナーシップの立役者の一人だ」と評した。「彼の抜擢はエジプトと欧州のパートナーシップの成長を強化するものだ」とも語った。
シュクリ前外相が外務省に10年間在任したことについて、「長いスパンで変化が見られる外務省という組織の特色の一つで自然なこと。国家は時として、大臣が他国のカウンターパートと築き上げた利点やネットワークを活用する必要があり、その結果、より長い任期が長く継続することになる」と現地の政治評論家は見ている。
中東には「あらゆる方向から紛争と危機が押し寄せており、EUと西側のパートナーは、エジプトのように安全と安定を維持するために頼れる国を見つけることができなかった」と、アブデルアーティは就任宣誓後の記者発表で述べた。
アブデルアーティ新外相は、「これは世界の他の国々にとっても同様であり、エジプトが重要かつ積極的な役割を果たすことで、この地域にすでに存在する以上の危機を生み出さないことを強く望んでいる」との考えを示した上で、エジプトがこれまでも、そしてこれからも「この地域の安定の柱」であることを強調した。