最新記事
韓国

韓国、分断の光復節 ユン大統領に反発した独立運動家の遺族ら独自の式典開催

2024年8月15日(木)21時30分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
韓国ユン・ソクヨル大統領

光復節の記念式典で演説するユン・ソクヨル大統領 REUTERS

<南北関係以上に分断が深刻な韓国政界>

日本にとって終戦記念日の8月15日は、韓国では植民地支配からの独立を祝う「光復節」として祝日になっている。

第79周年光復節記念式に出席した尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、南北統一のための3つのビジョンと3つの戦略、さらに7つの統一推進プログラムを加えた「8·15統一ドクトリン」を発表した。一方で例年の光復節で触れられる「対日メッセージ」はなく、野党などからは批判の声があがっている。韓国メディア、聯合ニュース、ノーカットニュース、MBCなどが報じた。

日本について触れたのは2つだけ

今年の光復節は例年通り、ソウル市中心部にある世宗(セジョン)文化会館で開催された。ユン大統領は「朝鮮半島全体で国民が主役である自由、民主、統一国家が作られるその日に初めて完全な光復が実現する」と語り、「自由な価値観」「北朝鮮住民の変化」「国際社会の連帯」を骨子とする統一ビジョンと推進戦略を提示した。

さらに、統一プログラムの活性化、北朝鮮の人権改善のための多次元的努力展開、北朝鮮住民の「情報接近権」拡大、北朝鮮住民の生存権保障のための人道的支援の推進、脱北者の役割を統一運動に反映、南北当局間「対話協議体」設置提案、国際朝鮮半島フォーラム創設、という7大統一推進プログラムも発表した。

今回の演説で最も多く言及された単語は自由(50回)で、統一は36回、北朝鮮は32回、国民は25回だった。ユン大統領が光復節の演説で「自由」へ言及したのは昨年は27回、就任1年目の2022年は33回だったことと比較すると、今年は大幅に増えたことがわかる。その一方で今年の演説では歴史については4回、日本についてはわずか2回に触れるにとどまった。

また日本についての2度の言及は、「昨年、韓国の1人当たりの国民所得は初めて日本を超え、2026年には4万ドルを見込んでいる」「今年上半期の韓国と日本の輸出格差は史上最低の35億ドルを記録した」など、経済的成果を強調するために引用されただけで、日本による植民地時代の問題や日本の過去問題に対する態度や責任などについてはまったく言及されなかった。

昨年の演説では日本について「私たちと普遍的価値を共有して共同の利益を追求するパートナー」「北朝鮮の核・ミサイルの脅威を遮断するためには、韓米日3カ国間の緊密な偵察協力と北朝鮮の核ミサイル情報のリアルタイム共有が行われなければならない」と経済、安全保障の両面から重要な関係であると強調したのとは対照的な演説となった。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

商船三井の今期、純利益を500億円上方修正 市場予

ビジネス

午前の日経平均は続伸、米株高の流れを好感 徐々に模

ワールド

トランプ氏「BRICS通貨つくるな」、対応次第で1

ワールド

米首都の空中衝突、旅客機のブラックボックス回収 6
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ革命
特集:トランプ革命
2025年2月 4日号(1/28発売)

大統領令で前政権の政策を次々覆すトランプの「常識の革命」で世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 4
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 5
    東京23区内でも所得格差と学力格差の相関関係は明らか
  • 6
    ピークアウトする中国経済...「借金取り」に転じた「…
  • 7
    「やっぱりかわいい」10年ぶり復帰のキャメロン・デ…
  • 8
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 9
    空港で「もう一人の自分」が目の前を歩いている? …
  • 10
    フジテレビ局員の「公益通報」だったのか...スポーツ…
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果が異なる【最新研究】
  • 4
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 5
    緑茶が「脳の健康」を守る可能性【最新研究】
  • 6
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 7
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 8
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 9
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 10
    煩雑で高額で遅延だらけのイギリス列車に見切り...鉄…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 5
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 10
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中