最新記事
韓国

トランプ銃撃の「奇跡の写真」で注目を集めるソニー製カメラ、韓国市場で首位独走を続ける理由

2024年8月2日(金)17時41分
佐々木和義

もう一つはスマートフォンカメラである。米アップルとスマートフォンの世界シェアを競っていたサムスンはスマートフォンカメラの高性能化を進めたが、自社のカメラ事業を圧迫する結果を生んだのだ。

サムスンがカメラ事業から撤退すると、韓国市場はソニーを選んだ。ビデオカメラはソニーの独壇場となり、ミラーレスもソニーが伸長。サムスンカメラの買い替え需要がはじまった2019年、ソニーコリアは売上が進出以来最高となる1兆4千億ウォンを記録し、以降3年連続で最高売上を更新した。

ソニー、24年ぶりに営業利益がサムスンを上回る

ソニーコリアはイメージセンサーにも力を入れる。イメージセンサーはレンズが捉えた像を電気信号に変換して記録するデジタルカメラの主要部品で、ソニーは世界市場で55パーセントのシェアを持ち、2位のサムスンを20ポイント以上、引き離している。

80年代、世界で初めてCCDイメージセンサーの商品化に成功したソニーは当初、自社製ビデオカメラに搭載したが、カメラメーカーにも供給を開始。現在、ニコンやリコーイメージング、またスマートフォンでもアップルやシャオミなどがソニー製イメージセンサーを搭載している。

今後、自動車分野が鍵になる。自動運転車など車の周辺を把握できるカメラの需要が高まるなか、車載向けは米国のオンセミに大きく水を開けられるソニーは熊本県に工場を新設するなど拡大を図る計画だ。ソニーは2023年度、営業利益が24年ぶりにサムソン電子を上回り、3倍だった売上差も2倍近くに縮まった。

ソニーコリアのウィークポイントは全製品を日本社から輸入することによる原価率の高さだが、ソニーをライバル視するサムスン電子のお膝元で着実に売上を伸ばしている。

2024091724issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年9月17日/24日号(9月10日発売)は「ニュースが分かる ユダヤ超入門」特集。ユダヤ人とは何なのか/なぜ世界に離散したのか/優秀な人材を輩出してきたのはなぜか…ユダヤを知れば世界が分かる

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

深セン日本人学校の児童死亡、中国に安全確保強く求め

ビジネス

独連銀総裁、銀行合併は「競争力ある金融機関生む必要

ワールド

台湾、米国等との協力で戦闘効率が向上=国防相

ワールド

米東海岸の港湾スト、実施されれば直ちに供給網混乱も
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
2024年9月17日/2024年9月24日号(9/10発売)

ユダヤ人とは何なのか? なぜ世界に離散したのか? 優秀な人材を輩出した理由は? ユダヤを知れば世界が分かる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    クローン病と潰瘍性大腸炎...手ごわい炎症性腸疾患に高まる【新たな治療法】の期待
  • 2
    北朝鮮で10代少女が逮捕、見せしめに...視聴した「禁断の韓国ドラマ」とは?
  • 3
    「ポケットの中の爆弾」が一斉に大量爆発、イスラエルのハイテク攻撃か
  • 4
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢…
  • 5
    浮橋に集ったロシア兵「多数を一蹴」の瞬間...HIMARS…
  • 6
    「トランプ暗殺未遂」容疑者ラウスとクルックス、殺…
  • 7
    キャサリン妃とメーガン妃の「ケープ」対決...最も優…
  • 8
    地震の恩恵? 「地震が金塊を作っているかもしれない…
  • 9
    岸田政権「円高容認」の過ち...日本経済の成長率を高…
  • 10
    米大統領選を左右するかもしれない「ハリスの大笑い」
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは...」と飼い主...住宅から巨大ニシキヘビ押収 驚愕のその姿とは?
  • 3
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢な処刑」、少女が生き延びるのは極めて難しい
  • 4
    キャサリン妃とメーガン妃の「ケープ」対決...最も優…
  • 5
    【クイズ】自殺率が最も高い国は?
  • 6
    北朝鮮で10代少女が逮捕、見せしめに...視聴した「禁…
  • 7
    ロシア空軍が誇るSu-30M戦闘機、黒海上空でウクライ…
  • 8
    エリザベス女王とフィリップ殿下の銅像が完成...「誰…
  • 9
    ウィリアムとヘンリーの間に「信頼はない」...近い将…
  • 10
    世界に離散、大富豪も多い...「ユダヤ」とは一体何な…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 3
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 4
    「棺桶みたい...」客室乗務員がフライト中に眠る「秘…
  • 5
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレ…
  • 6
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 7
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
  • 8
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
  • 9
    止まらない爆発、巨大な煙...ウクライナの「すさまじ…
  • 10
    ウクライナ軍のクルスク侵攻はロシアの罠か
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中