体感39度超のなか釜山市民千人以上が5時間行列、熱中症で搬送も 公営住宅追加募集で大混乱
猛暑の中、体調を崩して倒れる女性も SBS / YouTube
<割安な公営住宅「幸福住宅」の募集は怒号の場と化した>
日本同様に連日猛暑が続く韓国。釜山市も5日朝、猛暑警報と共に安全規則を守ってほしいというメールを市民に送った。ところが、市傘下の釜山都市公社が、公営住宅の追加募集で杓子定規な「現場受付」にこだわったために、1000人以上の市民が長時間行列する事態が発生。警察や消防まで出動する大混乱が生じた。韓国メディア、SBS、釜山日報、国民日報、ファイナンシャルニュースなどが報じた。
体温38度、熱中症で倒れる女性も
「整理券を渡せばいいじゃないですか。ふざけてるんですか。ここにいる人たちはみんな朝6時に来たんです!」
猛暑の中で長時間待機させられた市民の怒りの声が響きわたる。釜山市釜山鎮区(プサンシ·ジング)の釜山都市公社前には長蛇の列が出来ていた。
釜山都市公社は5日午前、公社が保有している2つの団地の追加入居者募集を実施した。募集対象は合計62世帯、入居資格は若者世帯と新婚夫婦、高齢者などで、周辺相場の60〜80%の家賃で供給する公共賃貸住宅だった。これだけならいいのだが、問題は応募受付方法だった。都市公社は先月19日「受付は8月5日から9日までの5日間、公社1階で先着順受付を通じて行われる」と発表。混乱が生じるのはその時点で目に見えていた。
「先着順」という言葉に、釜山市民たちは5日午前5時から行列を作り始めた。都市公社1階のロビーから始まった列は、一時、都市鉄道の釜岩(プアム)駅を過ぎて数百メートル以上続くほどまで伸びた。当初の計画では午前8時以前に到着した申込者は抽選で入居者を選び、午前8時以後に到着した申込者は先着順で決めるという予定だった。
ところが公社側が準備した整理券は500番までしかなかった。この日、早くから行列に並んだA氏(44)は「2000人を超える人が殺到したと聞いた」とし、「公社側が数時間もきちんとした対応を取らなかったため、わけも分からないまま、市民たちは蒸し暑い中でとめどもなく待たなければならなかった」と不満を吐露した。
午前11時を過ぎた頃、公社の建物の外で並んで待っていた20代の女性がめまいと嘔吐の症状を見せ、倒れ込んだ。駆けつけた救急隊員は、彼女の体温が38度まで上がっていたことを確認し、応急処置後、すぐに近くの病院に搬送した。彼女は炎天下の下、3時間ほど並んでいたという。
公社側の対応が二転三転、市民の怒りは頂点へ
混雑した状況となった現場には警察官数十人が投入され、現場を整理しはじめた。だが、行列に並ぶ人たちの間で割り込みや一人で複数枚の整理券を受け取ったり、午前8時以降に到着した申込者が整理券を受け取る事例が発生し、あちこちで不満が爆発した。
予想よりあまりに多くの人が集まった状況に、公社は午前11時30分頃にいったんこの日の募集を取り消すと明らかにしたが、昼12時頃に一転して受付を再開すると発表。26歳の女性は「募集を取り消すという話でいったん帰ったが、12時から受付を再開したという話題がネットに上がってきて、午後3時30分ごろ急いで帰ってきて申込をした」と語り、「午前7時30分から並んでいたが、次々と対応が変わった」と話した。
市民は、こういった都市公社の無責任な仕事を強く非難した。ずさんな準備、猛暑警報が出ているのに現場受付に固執した点、障害者·高齢者に対する配慮がなかった点、申込者を屋外に並ばせておくなど安全対策がなかった点などを叱責する声が公社ホームページ内の苦情欄、そしてSNSを熱くした。
これに対し釜山都市公社は「予想できなかった人の多さと猛暑により1000人余りの市民が長時間不便を経験し、これに対する準備が不足した」と謝罪した。またこの日の募集を9日まで延長し、現場受付と書留郵便での受付ができるよう改善することにしたという。