最新記事
パリ五輪

空中浮揚!? パリ五輪サーフィン「奇跡の一枚」カメラマンが語る撮影の裏側

How Photog Jerome Brouillet Got the Viral Shot of Olympic Surfer Gabriel Medina

2024年7月31日(水)18時22分
モニカ・セイガー
海でサーフィンをする人

(画像はイメージです)Kanenori-Pixabay

<パリ五輪サーフィン競技で撮影された「一枚の写真」に世界が熱狂。カメラマンは「コンディションは完璧だった」と振り返る>

たくさんの人が、フォトショップで加工したとか、AIで生成したとか言っているが、どちらも違う。

【写真】空中浮揚!? パリ五輪サーフィン「奇跡の一枚」

フランス通信社(AFP)のフォトジャーナリストであるジェローム・ブルイエは7月29日、パリ五輪の象徴になるかもしれない写真を撮影した。

サーフィン競技のブラジル代表、ガブリエル・メディナ選手が、フランス領ポリネシアのタヒチ島でオリンピック記録を樹立したライディングの後、波の上に浮揚しているように見える一枚のことだ。

写真では、メディナが空中で停止しているように見える。右腕で空を指さし、近くにはサーフボードが浮いている。

この驚くべき一枚は、メディナが、タヒチのサーフポイント「チョープー」で2メートルの波に乗り、9.9点のスコアをたたき出したときに撮影されたものだ。太平洋に浮かぶタヒチは、ビッグウェーブでサーファーたちを魅了してきた場所として、サーフィン競技の開催地に選ばれた。

ブルイエはガーディアン紙の取材に対し、撮影できたものについて「少しばかり衝撃を受けた」と語っている。

「コンディションは完璧だった」とブルイエは振り返る。「波は予想以上に高かった」

ブルイエは近くのボートから競技を撮影していた。

「メディナは波に隠れていて見えなかったが、飛び出してきたときに4枚の写真を撮影した。その1枚がこれだ」とブルイエはガーディアンに語った。「写真を撮ること自体は難しくなかった。ガブリエルが、いつどこで波から出てくるかを予測することの方が難しかった」

ブルイエが撮影した写真はカメラから編集者に自動送信されるため、すぐに反応を受け取ることになった。

「撮影後、6分間の休憩中に携帯電話をチェックしていたら、ソーシャルメディアにたくさんの通知が来ていたため、この一枚で何かが起きているのだと思った。そして、ESPN(アメリカのスポーツ専門チャンネル)で共有されているとわかり、『クールだ』と思った」とブルイエは説明する。

「この写真はとてもクールなナイスショットで、多くの人に愛されている。よくあるサーフィンの写真ではないから、より多くの注目を集めているのだろう」

サーフィンは2021年の東京五輪から採用された競技だ。メディナは東京五輪を4位で終え、オーストラリア代表のオーウェン・ライト選手に、わずかな差で銅メダルを譲った。

サンパウロ生まれのメディナは、ワールド・サーフ・リーグ(WSL)で3度優勝している。2009年には、15歳でメジャー大会優勝の最年少記録を打ち立てた。

その2年後、WSLのチャンピオンシップ・ツアーに参戦。2015年以降、メディナはチャンピオンシップ・ツアー最多優勝を果たしている。またメディナはリオデジャネイロの大会で、「バックフリップ」と呼ばれる技を初めて成功させたことでも知られる。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

EXCLUSIVE-中国、欧州EV関税支持国への投

ビジネス

中国10月製造業PMI、6カ月ぶりに50上回る 刺

ビジネス

再送-中国BYD、第3四半期は増収増益 売上高はテ

ビジネス

商船三井、通期の純利益予想を上方修正 営業益は小幅
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:米大統領選と日本経済
特集:米大統領選と日本経済
2024年11月 5日/2024年11月12日号(10/29発売)

トランプ vs ハリスの結果次第で日本の金利・為替・景気はここまで変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴出! 屈辱動画がウクライナで拡散中
  • 2
    幻のドレス再び? 「青と黒」「白と金」論争に終止符を打つ「本当の色」とは
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    世界がいよいよ「中国を見捨てる」?...デフレ習近平…
  • 5
    北朝鮮軍とロシア軍「悪夢のコラボ」の本当の目的は…
  • 6
    娘は薬半錠で中毒死、パートナーは拳銃自殺──「フェ…
  • 7
    米供与戦車が「ロシア領内」で躍動...森に潜む敵に容…
  • 8
    カミラ王妃はなぜ、いきなり泣き出したのか?...「笑…
  • 9
    キャンピングカーに住んで半年「月40万円の節約に」…
  • 10
    衆院選敗北、石破政権の「弱体化」が日本経済にとっ…
  • 1
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 2
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴出! 屈辱動画がウクライナで拡散中
  • 3
    キャンピングカーに住んで半年「月40万円の節約に」全長10メートルの生活の魅力を語る
  • 4
    2027年で製造「禁止」に...蛍光灯がなくなったら一体…
  • 5
    【クイズ】次のうち、和製英語ではないものはどれ?…
  • 6
    渡り鳥の渡り、実は無駄...? 長年の定説覆す新研究
  • 7
    北朝鮮を頼って韓国を怒らせたプーチンの大誤算
  • 8
    幻のドレス再び? 「青と黒」「白と金」論争に終止符…
  • 9
    世界がいよいよ「中国を見捨てる」?...デフレ習近平…
  • 10
    「決して真似しないで」...マッターホルン山頂「細す…
  • 1
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 2
    「地球が作り得る最大のハリケーン」が間もなくフロリダ上陸、「避難しなければ死ぬ」レベル
  • 3
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の…
  • 6
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア…
  • 7
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 8
    ウクライナに供与したF16がまた墜落?活躍する姿はど…
  • 9
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料…
  • 10
    エジプト「叫ぶ女性ミイラ」の謎解明...最新技術が明…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中