最新記事
中国

中国の「オーバーツーリズム」は桁違い...「万里の長城が壊れる!」観光客が押し寄せた動画が話題に

Ancient wonder of the world overrun by tourists in viral video

2024年7月26日(金)20時08分
スー・キム
万里の長城を埋め尽くす中国のオーバーツーリズム

hecke61/Shutterstock

<中国の万里の長城に、とてつもない数の観光客が。各旅行会社が同時期にまとめて観光客を連れて来ることで混雑がどんどん悪化しているという>

ポストコロナの今、世界各国でオーバーツーリズム(旅行者が増えすぎ、地元の生活や環境に悪影響を与えること)が問題になっている。だが人口大国・中国では、オーバーツーリズムのレベルも桁違いのようだ。SNSに最近投稿された、万里の長城に「異常な数の人」が押し寄せ、ひしめき合っている様子を撮影した動画が大きな注目を集めている。

■【動画】想像を超える、中国のオーバーツーリズム 「万里の長城が壊れる!」押し寄せた観光客...SNS動画が話題に

問題の動画は@vincentlivinginchinaが7月14日にTikTok上で共有したもの。万里の長城は紀元前3世紀から17世紀にかけて増築や修築を繰り返して完成し、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産に登録されている。動画は、万里の長城のある区間が大勢の観光客で埋め尽くされている様子を捉えたものだ。見渡す限りの長い行列ができており、観光客たちは一度に数センチのかなり遅いペースでしか前に進めていない。

投稿者(本名や居住地は明かしていない)は本誌に対して、学校が夏休みの期間は動画のように万里の長城が大混雑すると説明。各旅行会社が観光客を「まとめて同時に」連れて来ることで、混雑がさらに悪化していると述べた。動画には「あまりに混雑しているため、数歩進むのにも何分もかかることがある」という説明が添えられている。

パンデミックが終息して記録的な数の人が旅行へ

飛行機で各地を飛び回る人々は、今年はどこに行っても混雑に直面する可能性が高い。とりわけ万里の長城のような世界有数の有名な観光地ではその傾向が顕著にみられるだろう。市場調査会社「ユーロモニター・インターナショナル」が2023年12月に実施した調査によれば、2024年は「記録的な数」の人々が旅行をする見通しで、世界の観光支出が2兆ドルに達する見込みだ。

空の旅は、パンデミック終息を受けて力強い成長を続けている。国際航空運送協会(IATA)が5月に発表した報告によれば、2024年4月の世界の航空総需要は前年同月比で11%増加した。IATAはまた1月に発表した報告の中で、2023年11月の世界の航空総需要はパンデミック前の2019年11月の水準と比べて99.1%にまで回復した。

今回の動画を投稿した@vincentlivinginchinaは、その後のコメントで「通常はここまで異常な混雑ではない。小学校と中学校の夏休みが始まったことが原因だ」と述べた。またこの投稿者は、万里の長城を訪れるのに最適な時期はいつかという質問に対して、学校の休暇や祝日を避けるのがいいだろうと答えた。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国副首相が米財務長官と会談、対中関税に懸念 対話

ビジネス

アングル:債券市場に安心感、QT減速観測と財務長官

ビジネス

米中古住宅販売、1月は4.9%減の408万戸 4カ

ワールド

米・ウクライナ、鉱物協定巡り協議継続か 米高官は署
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中