最新記事
ウクライナ情勢

ウクライナ「領土割譲やむなし」初の3割超でゼレンスキーに和平の選択肢

Ukrainian Support for Ceding Territory Surges

2024年7月24日(水)16時55分
ブレンダン・コール

平和のために受け入れられるシナリオについて尋ねたところ、回答者の62%が「(ロシアを刺激する)NATO加盟を伴わないEU加盟と、すべての占領地の回復」というなら受け入れられると答えた。

2番目に多い支持を集めたのは、クリミア半島と親ロ派地域であるドネツク州、ルハンスク州の支配権は事実上譲り渡すものの、ヘルソン州とザポリージャ州は完全に取り戻し、NATOとEUの両方に加盟する案で、53%だった。

国境線をウクライナが独立した1991年当時に戻せと主張する人が減ったことで、ゼレンスキーには、国内でほとんど反対を受けずに戦争を終結させる外交的余裕ができた、とコヴァレンコは話す。

「ゼレンスキー大統領はこの戦争を、親ロシア派のドンバス地方を切り離し、ウクライナを強化できるチャンスと見ているかもしれない」とコヴァレンコは述べる。「ウクライナ社会のかなりの割合の人が、(石炭や鉄鋼など補助金食いの)重工業が多いドンバス地方(ドネツク州とルハンスク州)がウクライナの財政的な重荷になり、EU加盟やNATO加盟への道を妨害してきたことを、ためらいつつも認めている」

もっとも全体的に見れば、ウクライナ人はまだ挫けていない。KIISのアントン・フルシェツキー所長はメディア発表でこう語った。領土割譲に関する柔軟性が存在するにもかかわらず、ウクライナ人は「明らかに、いかなる条件でも和平に同意していない」と述べた。

今回の調査は、5月16日〜22日と6月20日〜25日にかけて、ウクライナ政府が支配する全地域の成人3075人を対象に行われたもので、誤差範囲は5%だ。
(翻訳:ガリレオ)

20250408issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月8日号(4月1日発売)は「引きこもるアメリカ」特集。トランプ外交で見捨てられた欧州。プーチンの全面攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

訂正-米テキサス州のはしか感染20%増、さらに拡大

ワールド

米民主上院議員、トランプ氏に中国との通商関係など見

ワールド

対ウクライナ支援倍増へ、ロシア追加制裁も 欧州同盟

ワールド

ルペン氏に有罪判決、次期大統領選への出馬困難に 仏
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 9
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中