銃撃を受けたトランプの下に団結し、無敵の高揚感に包まれた共和党
“THE ELECTION’S OVER”
ウィスコンシン州の代議員である妻に同行して党大会に参加したグレッグ・ライマンは16日の朝、ファイサーブ・フォーラムの外の広場を散歩していた。彼は前夜にトランプ一家の近くに座ったときの写真を見せて、次男のエリック・トランプに挨拶すると会釈されたと説明した。
ライマンは、最近の民主党の内紛を見るのが「ちょっとした楽しみ」になっている。ただし、バイデンのことは「ほんの少し、ほんの少しだけ、気の毒にも思う」。彼は「外界から閉ざされていて、自分がどんなにひどく見られているのか、分かっていないのだろう」。
民主党の出方に一抹の不安
共和党の陶酔感を抑えるものがあるとすれば、腹黒い民主党がまだ何か切り札を隠しているかもしれないという予感だ。党派対立にがんじがらめになっている支持者に共通するのは、どちらの陣営も、相手の工作員や戦略家は黒魔術を操り、どんなこともできると信じていることだ。
「(民主党陣営の)裏で動いている大物たちは、あまりに冷酷で卑劣だ」とライマンは言う。「彼らは勝つためだけに動き、その過程で誰を踏み付けようが気にもかけない。それがバイデンであっても」
神の摂理であれ、工作員の黒魔術であれ、政治の命運は一瞬でひっくり返る。16年の大統領選がまさにそうだった。一時期は毎日のように、トランプに勝ち目はないとする新しい理由が出てきた。党大会前には、政治家個人としての理由から、あるいはトランプに党が乗っ取られたときに関与したと言われたくないから、党大会に参加しない党重鎮は誰なのかが話題になった。
今回、共和党は間違いなく団結している。党大会の初日、3年以上トランプの名前を口にすることさえほとんどなかったミッチ・マコネル上院院内総務が、ケンタッキー州の代議員はトランプを指名すると宣言した(ちなみにマコネルは終始ブーイングを浴びていた。「トランプワールド」への再入場は一朝一夕には認められないのだ)。
マコネルの後継者と目されるジョン・スーン上院議員(サウスダコタ州)は、20年の選挙戦の影響でトランプとの関係がぎくしゃくしていたが、今回は次のように語っている。「少なくとも、われわれ上院は非常に結束している。トランプ陣営も、トランプ自身も、上院指導部も、全ての組織も一丸になっている」