最新記事
ウクライナ情勢

ロシア防空ミサイルが「ドローン迎撃」に失敗...直後に「直撃弾」をくらう緊迫の映像をウクライナ公開

Russia's Tor missile system blown up with HIMARS after missing spy drone

2024年7月20日(土)12時25分
イザベル・バンブルーゲン
ウクライナ軍HIMARSがロシア軍Torを撃破

Mike Mareen/Shutterstock

<ドローンやミサイルを迎撃する能力を持つロシアの防空ミサイルシステム「Tor」は、何度もウクライナ軍による攻撃の標的になってきた>

ウクライナ軍のHIMARSによる攻撃が、ロシアの防空ミサイルシステム「Tor」を撃破する様子を捉えたとみられる動画が公開された。動画はウクライナ軍ドローンから撮影されたもので、まずはTorから発射された防空ミサイルがカメラの目の前をかすめて飛んでいくが、「迎撃」に失敗したTorは逆にHIMARSの直撃弾を受けて爆発・炎上する。

■【動画】目の前に飛んでくるミサイルを、ギリギリで回避...ウクライナが公開した「ドローン視点」映像の大迫力

今月、この35秒間の空撮動画を最初にテレグラム上で共有したのは、ウクライナ軍戦略通信センターで、ウクライナ軍のドローンがロシアの携帯式短距離ミサイルシステム「Tor」から発射されたミサイルをかわす様子を捉えたものだとの説明が添えられていた。

ウクライナ国防省は12日、ウクライナ軍無人航空システム第14連隊が高機動ロケット砲システム(HIMARS)を使用してロシア軍の防空ミサイルシステム「Tor」を攻撃し、破壊したと発表した。本誌はこの動画の信ぴょう性について独自に確認することができず、ロシア国防省にメールでコメントを求めたがこれまでに返答はない。動画の撮影時期および撮影場所は明らかになっていない。

ロシア軍の兵士たちもHIMARSの餌食に

アメリカからHIMARSの供与を受けたことで、ウクライナはロシア軍の最新鋭対空ミサイルシステムを破壊することができるようになった。HIMARSは3年目に突入しているウクライナとロシアとの戦闘において広く使用されており、戦闘開始以降、アメリカ政府はウクライナに少なくとも39基のHIMARSを供与している。

ウクライナがこれまで何度も標的にしてきたロシアのTorシステムは、航空機やドローン、誘導ミサイルやその他の精密兵器を撃墜する能力を持っている。ロシアの国営タス通信は2023年2月に軍事専門家の発言を引用する形で、改良型のTor-M2は動いているドローンや「その他の複雑な空中目標」を破壊することができると報じた。

ウクライナ軍はまた、西側諸国から供与を受けたHIMARSを使用してロシア軍の部隊を攻撃したとも報じられている。実際にウクライナ軍は6月、ロシア占領下のウクライナ南部で森に潜むロシア兵たちをHIMARSで攻撃したと発表した。

ウクライナ軍特殊作戦部隊(SSO)は当時テレグラムへの投稿の中で、「第73海上特殊作戦部隊のドローン要員が南部方面で偵察を行っていたところ、ロシア軍の兵士たちが集まっている場所を見つけた」と述べ、攻撃の様子を撮影した動画を共有。投稿はさらに「SSOはロシア軍の兵士たちが集結していた南の区域を狙い、HIMARSで攻撃を行った」と述べて、こう続けた。「この結果、ロシア軍は甚大な損失を被った」

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米バークシャー、24年は3年連続最高益 日本の商社

ワールド

トランプ氏、中国による戦略分野への投資を制限 CF

ワールド

ウクライナ資源譲渡、合意近い 援助分回収する=トラ

ビジネス

ECB預金金利、夏までに2%へ引き下げも=仏中銀総
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チームが発表【最新研究】
  • 2
    障がいで歩けない子犬が、補助具で「初めて歩く」映像...嬉しそうな姿に感動する人が続出
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 5
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 6
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 7
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    見逃さないで...犬があなたを愛している「11のサイン…
  • 10
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 5
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 6
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 7
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 8
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 9
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中