最新記事
米大統領選

ハリスとオバマのドリームチームで「もしトラ」を阻止せよ

My Election Fantasy

2024年7月11日(木)12時50分
フレッド・カプラン(スレート誌コラムニスト)
22年6月、ハリス、バイデンと医療政策を話し合うためホワイトハウスを訪れたオバマ LEAH MILLISーREUTERS

22年6月、ハリス、バイデンと医療政策を話し合うためホワイトハウスを訪れたオバマ LEAH MILLISーREUTERS

<バイデン降ろしの声が高まるなか、民主党幹部のために確実な勝ち筋を考えてみた>

6月27日に行われた米大統領選テレビ討論会では、民主党の指名を確実にしているジョー・バイデン大統領が目を覆うばかりの失態を見せた。民主党幹部は頭を抱えたが、この悪夢を消し去り、素晴らしく魅力的な正副大統領候補を擁立できるアイデアがある。

それは大統領選版ファンタジーゲームのようなもの。ドリームチームが実現する公算は低いが、もし実現したら11月に行われる本選での勝利はほぼ確実だ。


討論会でのバイデンの受け答えは続投を危ぶませるほどひどかった。「たまたま体調が悪かった」という言い訳など通るはずもない。党内からは81歳のバイデンを撤退させ、新たな候補を擁立すべきだとの声も上がった。

もちろん、その道筋は簡単ではない。バイデンは予備選で代議員を十分に獲得し、党大会で指名されることになる。本人が降りると言わない限り降ろせないが、少なくとも今のところ彼も彼の家族も撤退の意思を示していない。

しかもバイデン降ろしを叫んでいる党員の多くは、代わりにカマラ・ハリス副大統領を擁立することには渋い顔をする。3年半副大統領を務めたものの、ハリスはさしたる実績を残しておらず、吸引力もないからだ。

ハリス以外の有力候補としては、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事やミシガン州のグレッチェン・ウィトマー知事らの名前が挙がっている。だが彼らは全米レベルの選挙戦の経験がなく、身体検査が済んでいないから思わぬボロが出かねない。

オバマ3期目もあり得る

では、どうするか。夢のシナリオはこうだ。

まずバイデンが党大会前に大統領職を辞任する。それによりハリスが大統領になる。そしてバラク・オバマ元大統領を副大統領に指名し、このコンビで今年の大統領選に打って出るのだ。

オバマは今も絶大な人気を誇る。党幹部も献金者も一般の人々も、彼の帰還を熱狂的に歓迎するだろう。ハリスとオバマのドリームチームなら本選での勝利はほぼ確実だ。

オバマの副大統領就任は憲法には抵触しない。大統領を務められるのは2期までだが、2期大統領を務めた後に副大統領になることを禁じた規定はない。さらに副大統領になったオバマは、仮にハリスが死ぬか辞任したら、大統領になれる。憲法は2回以上大統領に「選ばれる」ことを禁じているだけで、「後を継ぐ」ことは禁止していないからだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

焦点:アサド氏逃亡劇の内幕、現金や機密情報を秘密裏

ワールド

米、クリミアのロシア領認定の用意 ウクライナ和平で

ワールド

トランプ氏、ウクライナ和平仲介撤退の可能性明言 進

ビジネス

トランプ氏が解任「検討中」とNEC委員長、強まるF
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 2
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はどこ? ついに首位交代!
  • 3
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 4
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 5
    「2つの顔」を持つ白色矮星を新たに発見!磁場が作る…
  • 6
    300マイル走破で足がこうなる...ウルトラランナーの…
  • 7
    今のアメリカは「文革期の中国」と同じ...中国人すら…
  • 8
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 9
    トランプ関税 90日後の世界──不透明な中でも見えてき…
  • 10
    米経済への悪影響も大きい「トランプ関税」...なぜ、…
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 3
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 4
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 5
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 6
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇…
  • 7
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 10
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中