最新記事
人種差別

トランプのコア支持層MAGAに亀裂?副大統領候補バンスのインド系妻が許せないと差別発言が炸裂

MAGA Makes Racist Attacks Against JD Vance's Wife

2024年7月18日(木)18時51分
イワン・パーマー
共和党大会のバンス夫妻

共和党大会の3日目のスピーチの後、手を挙げて聴衆に応えるバンスと妻のウーシャ(バンスの後ろ)(7月17日、ウィスコンシン州ミルウォーキー) REUTERS/Mike Segar

<保守派でMAGAの体現者と思われた副大統領候補バンスの妻がインド系であること、子供の名前もインド名であることなどを、一部のMAGAは我慢ができないようだ。彼らは「白人のアメリカ」の復活を目指しているのだから>

米共和党の大統領候補ドナルド・トランプ前大統領がオハイオ州選出のJ・D・バンス上院議員を副大統領候補に選ぶと、極右とMAGA(Make America Great Again「アメリカを再び偉大な国に」)の推進者たちがたちまちバンスの妻にネットで誹謗中傷の限りを尽くし始めた。

バンスの妻、ウーシャ・バンスはインド系移民2世。サンディエゴ育ちで、夫とはエール大学法科大学院在学中に出会った。ニューヨーク・タイムズによれば、2人は2014年に結婚。後日、結婚式とは別の儀式で、ヒンドゥー教の導師にも祝福を受けたという。

7月15日の共和党全国大会の開幕直後に、トランプがバンスの起用を発表すると、極右は差別意識をむきだしにしてウーシャ叩きを開始した。インド系の血を引くウーシャは夫を説得して、共和党の移民規制政策を骨抜きにしかねない、というのだ。

極右活動家で学生組織「アメリカ・ファースト・ステューデンツ」の創設者であるジェーデン・マクニールはX(旧ツイッター)で生まれたばかりのわが子を抱くバンス夫妻の写真をシェアし、「この男が最悪の移民政策を打ち出すのは時間の問題だ」と投稿した。

1000万人のインド人が押し寄せる?

ラッパーのカニエ・ウェストと共に2022年11月にトランプのフロリダ州の別荘・マールアラーゴを訪れ、トランプと歓談した白人至上主義者のニック・フエンテスはポッドキャストの番組で、白人労働者階級の出身なのにインド系女性を妻にしたバンスの立ち位置に疑問を突きつけた。

「この男は一体何者なんだ」

バンス夫妻の3人の子供の1人は、共和党の予備選でトランプと戦ったインド系起業家のビベック・ラマスワミと同じ名前。フエンテスはそのことまで問題にし、「この男は本当に白人の代表と言えるのか」と、リスナーに問いかけた。

2021年1月6日の連邦議会襲撃に加わったトランプの熱狂的支持者、ビンセント・ジェームズ・フォックスが問題にしたのは、共和党大会初日の閉会の挨拶で、党幹部のインド系女性が演壇に立ち、ヒンドゥー教の祈りを捧げたことだ。

「J・D・バンスが副大統領候補になったとたんに、党大会でヒンドゥーの祈りが流れた」と、フォックスはXで嘆いた。「次は、バンスが(インド系の)マイク・リー上院議員とつるんで、1000万人のインド系移民を受け入れるようトランプを説得するだろう。外交ルートで永住権が手に入るというわけだ!」

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

日経平均2カ月ぶり4万円、日米ハト派織り込みが押し

ワールド

EU、防衛費の共同調達が優先課題=次期議長国ポーラ

ワールド

豪11月失業率は3.9%、予想外の低下で8カ月ぶり

ワールド

北朝鮮メディア、韓国大統領に「国民の怒り高まる」 
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:韓国 戒厳令の夜
特集:韓国 戒厳令の夜
2024年12月17日号(12/10発売)

世界を驚かせた「暮令朝改」クーデター。尹錫悦大統領は何を間違えたのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 2
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達した江戸の吉原・京の島原と並ぶ歓楽街はどこにあった?
  • 3
    男性ホルモンにいいのはやはり脂の乗った肉?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 5
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 6
    ノーベル文学賞受賞ハン・ガン「死者が生きている人を…
  • 7
    韓国大統領の暴走を止めたのは、「エリート」たちの…
  • 8
    「男性ホルモンが高いと性欲が強い」説は誤り? 最新…
  • 9
    「糖尿病の人はアルツハイマー病になりやすい」は嘘…
  • 10
    統合失調症の姉と、姉を自宅に閉じ込めた両親の20年…
  • 1
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 2
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、妻の「思いがけない反応」...一体何があったのか
  • 4
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 5
    国防に尽くした先に...「54歳で定年、退職後も正規社…
  • 6
    朝晩にロシア国歌を斉唱、残りの時間は「拷問」だっ…
  • 7
    「男性ホルモンが高いと性欲が強い」説は誤り? 最新…
  • 8
    男性ホルモンにいいのはやはり脂の乗った肉?...和田…
  • 9
    人が滞在するのは3時間が限界...危険すぎる「放射能…
  • 10
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼ…
  • 9
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中