韓国でLINEユーザーが急増した理由 日本への反発?
韓国で急激にLINEのダウンロード数が増えている。その理由は...... 撮影:佐々木和義
<韓国は全人口の93%がカカオトークを利用しており、国民的メッセンジャーとなっているが、急激にLINEのダウンロード数が増えている。その理由は......>
韓国でLINEのダウンロード数が増えている。5月には通信アプリ部門で1位を記録、国民的メッセンジャーのカカオトークを上回った。
世界でLINEを月1回以上するアクティブユーザーは約1億9600万人。半数近い9600万人が日本で、韓国内の市場シェアは20%以下、日常的な利用者は5%未満となっている。韓国は全人口の93%がカカオトークを利用しており、LINEは日本人との通信やカカオトークが使えないときの代用手段が多いようだ。
企業、公共機関や行政機関など、カカオトークに依存
カカオトークは2010年に誕生すると瞬く間に広がった。オフィスで社員同士がカカオトークでコミュケーションを取り、電車やバスでも同行者がカカオトークで会話した。言葉を交わす方が早いとカカオ現象を揶揄する声が現れる一方、記録に残ると肯定する人もいて賛否両論渦巻いたが、いまや個人間の連絡から社内連絡や取引先、企業、公共機関や行政機関など、カカオトークに依存しており、韓国生活に欠かせないツールとなっている。
22年10月、そのカカオトークに大規模な通信障害が発生した。10月15日午後3時過ぎ、ソウル郊外のデータセンターで小規模火災が発生。漏電を懸念した消防が電力の遮断を要請し、すべてのサーバーが停止したのだ。カカオトークに加えてカカオマップ、オンライン決済、カカオタクシーなど5000万人が影響を受けたという。韓国のアクティブユーザーは4845万人で世界でも5375万人。利用者の大部分が影響を受けたことになる。
カカオトークは民間企業のサービスだが、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が「再発防止策や障害発生時の対応態勢を整備しておく必要がある」としてカカオに言及。また、施設管理に加えて企業による独占・寡占を規制する法整備が必要という声も高まるなか、少なからぬ韓国人が代替手段としてLINEを入手した。
大規模障害から1年7か月経った今年5月、ふたたび不具合が発生した。5月13日午後1時44分から6分間にわたって通信障害が起き、20日にも昼2時52分から6分間、21日には朝8時30分から9時24分まで1時間近くにわたって障害が発生、LINEのダウンロード数が急増したのだ。
LINEが日本に奪われないように利用しようと呼びかけ
LINEが日本に奪われないように利用しようと呼びかける人たちも現れた。
LINEは韓国インターネット最大手のネイバーの日本子会社が開発したアプリである。ネイバーはワッツアップ(WhatsApp)やカカオトークに対抗するネイバートークを2011年2月に開発したが、カカオの牙城を崩すことはできなかった。直後、東日本大震災で家族や親戚との連絡に苦心する様を見た李海珍会長が日本での開発を決め、同年6月、LINEサービスを開始した。
2013年以降、LINE株式会社が運営を担ったが、2021年にソフトバンクとネイバーが共同出資したAホールディングス傘下のLINEヤフーに移行した。運営はソフトバンクが主導、技術やサーバはネイバーに依存した。