最新記事
米大統領選

トランプの副大統領候補バンスは「連邦政府の解体」を提言する「プロジェクト2025」の信奉者?

JD Vance's Ties to Project 2025 Leader Kevin Roberts

2024年7月17日(水)17時23分
ジョーダン・キング
米共和党の副大統領候補バンス

共和党大会でトランプの副大統領候補に指名されたバンス(7月15日、ウィスコンシン州ミルウォーキー) CNP/INSTARimages via Reuters Connect

<トランプが副大統領候補に選んだバンスには、トランプ大統領の下でアメリカを作り替えようとする過激な支持者がついている>

アメリカの共和党全国大会の初日にあたる7月15日、ドナルド・トランプ前大統領は正式に共和党大統領候補に指名され、副大統領候補にはJ・D・バンス上院議員を選んだと発表した。オハイオ州選出の上院議員であるバンスはベストセラー作家としても有名だが、11月の大統領選に向けて全く別のスポットライトを浴びる立場になった。

バンスは2016年、製造業の衰退で貧しくなった中西部の暮らしを描いた回顧録「ヒルベリー・エレジー」(邦訳:光文社)で一躍注目を集め、その後2022年に上院選に出て当選した。副大統領候補の1人として名前が浮上したここ数カ月、過去の言動や人間関係が注目されていた。

その一例が、政策構想「プロジェクト2025」をまとめた保守系シンクタンク、ヘリテージ財団との関係だ。

「プロジェクト2025」は、次の共和党大統領のための政策提言集として作成されたもの。具体的には、連邦政府の解体的見直しや、政府職員がより大統領に忠誠を尽くすよう人事を一新するなど、現在の官僚や政府職員を震え上がらせる内容だ。

トランプが副大統領候補はバンスと発表した後、民主党全国委員会(DNC)のジェイミー・ハリソン委員長は、声明でこう述べた。「J・D・バンスはMAGA(アメリカを再び偉大に)を体現する存在だ。現実離れした過激な政策を掲げ、トランプが『プロジェクト2025』の提言をトランプがアメリカ国民に押しつける手助けをする」

ヘリテージ財団が絶賛

ヘリテージ財団のケビン・ロバーツ会長は、15日にウィスコンシン州ミルウォーキーで開催した同財団の「ポリシー・フェスト」で、自身はバンスの「いい友達」だと述べた。さらに、ヘリテージ財団はバンスを副大統領候補に選ぶよう内々にトランプに働きかけていたことも明らかにした、とAP通信は報じている。

ロバーツはバンスについて、「彼は人の話を聞く。思慮深い。面白いところもある。彼と私は生まれ育った環境も似ていて、困難な子ども時代を過ごした。だから、顔を合わせた途端に意気投合した。もちろん、彼は今後も自らの信念を持った男であり続けるだろうが、我々のような正統な保守派と共に働くべきだ」

「政策について言えば、彼はこの国が今どういう時期にいるかを理解している。つまり、置き去りにされたアメリカ国民のための政策を実行する時間は限られているということだ」

一方、X(旧ツイッター)のジョー・バイデン大統領の選挙活動用アカウント「@BidenHQ」は7月9日、ある動画を投稿した。この動画には、2023年にヘリテージ財団が開催したリーダーシップ・サミットで、バンスが話をする様子が収められている。

バイデン陣営は、以下のようなキャプションをつけていた。「トランプの副大統領候補に取りざたされているJ・D・バンスは、『プロジェクト2025』をまとめたリーダーたちの『素晴らしい仕事ぶり』に感謝した。トランプのために、全米で人工妊娠中絶を禁止し、社会保障を削減する仕事ぶりに、だ」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエル首相らに逮捕状、ICC ガザで戦争犯罪容

ビジネス

米中古住宅販売、10月は3.4%増の396万戸 

ビジネス

貿易分断化、世界経済の生産に「相当な」損失=ECB

ビジネス

米新規失業保険申請は6000件減の21.3万件、4
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中