総選挙直前、仏政府が極右団体とイスラム系団体に解散命令
Extreme-right and radical Islamic groups banned in France
極右・国民連合(RN)党首のバルデラ。前党首マリーヌ・ルペンの秘蔵っ子(6月25日、パリ) Baptiste Autissier / Panoramic via Reuters Connect
<来たるフランス議会選挙は、台頭する極右と国家の戦争だ>
フランス政府は、極右団体4つとイスラム協会1つに対して解散を命じた。この中には、暴力や反ユダヤ主義で知られる「連合防衛陣(GUD)」も含まれている。
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フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、ヨーロッパの複数の国で実施された欧州議会選挙で極右政党が躍進したことを受けて、国民議会(下院)の解散総選挙を発表。その第1回投票が6月30日に迫るなかで、今回の解散命令が出された。ある専門家は本誌に対して、欧州議会選での極右躍進はヨーロッパの顕著な右傾化を示唆していると指摘していた。
解散を命じられたそのほかの団体は、リヨンを拠点とする「Les Remparts(「城壁」の意)、「La Traboule」と「Top Sport Rhône」とイスラム協会の「Jonas Paris」だ。
ジェラルド・ダルマナン仏内相はX(旧ツイッター)への投稿で、「極端な憎悪とは国全体で戦わなければならない」と述べた。
現在はマリーヌ・ルペン率いる極右政党の国民連合(RN)が全ての世論調査でリードしており、マクロン率いる中道の与党連合は後れを取っている。ただし選挙は2回投票制で一部政党の選挙協力もあるため、結果は予測がきわめて困難な状況だ。
極右との選挙協力を訴えた党首を除名に
今回の選挙では、フランスがナチスの占領下にあった時代以降で初めて、極右の政府が選出される可能性がある。
国民連合のジョルダン・バルデラ党首は先日行われた討論会の中で、外国人に対する無償医療の廃止やフランス国籍取得の規制強化など物議を醸す政策を改めて表明した。
彼はまた、二重国籍者が国の一部要職に就くのを禁じることを提案。これを受けてガブリエル・アタル首相は、バルデラが排外主義的で人種差別的だと述べ、「二重国籍者は半人前の市民で、真のフランス国民ではないというメッセージを発信している」と強く非難した。
フランスでは右派の政治家も左派の政治家も、極右の台頭に懸念を募らせている。
保守派である共和党(LR)は2週間前に、選挙に向けて国民連合との協力を訴えた党首を除名した。
かつて共和党に所属していたダルマナンはこの動きを「共和党にとって不名誉なこと」と述べ、第二次世界大戦前夜にナチスドイツと結んだミュンヘン協定になぞらえた。
ダルマナンは6月24日にRTLラジオに対して、フランスの各当局は第1回投票を前に暴力が起きる可能性に備えていると述べ、「緊張がかなり高まる可能性がある」と指摘した。
ブリュノ・ルメール財務相はラジオネットワーク「フランス・アンフォ」に対して、「国内の平和」が心配だと述べた。「国民連合は安定と平和の源ではない。彼らは混乱と暴力の源だ」と彼は述べた。