最新記事
米大統領選挙

イーロン・マスクはなぜトランプを支持するのか? 問題児2人の不思議な「蜜月関係」

THE MUSK-TRUMP BROMANCE

2024年6月27日(木)15時48分
ニティシュ・パーワ(スレート誌ライター)

newsweekjp_20240627021719.jpg

中国・杭州のテスラ販売店 CFOTOーSIPA USAーREUTERS

トランプは資金を切実に必要としていた今年3月にマスクに擦り寄り、共和党全国大会に演説者として招待すると言い出した。この頃CNBCの取材で、マスクとは「長年の親交がある。私が大統領だったときに彼を助けたことがある。彼のことは前から好きだ」と語っている。

これは中国からの輸入品の関税を大幅に引き上げたことを指しているのかもしれない。中国の安価なEV産業は、テスラの世界的な売り上げに大打撃を与えている。

バイデン政権は対中国の関税措置の多くを引き継いでいるが、一方で、テスラのライバルであり、EV競争に本格参戦したアメリカの大手自動車会社を丸ごと支援する税控除策を導入した。


しかし、ビジネスを超えて、マスクはバイデン政権下で共和党に深く傾倒するようになった。

ツイッター(現X)を乗っ取り、トランプのアカウントを復活させ、憎悪に満ちたコンテンツと右翼プロパガンダの巣窟に変えた。最近はXでたびたびバイデンを非難しているが、現在のXは主に、共和党関連団体の広告と有料サブスクリプションサービスに支えられている。

気候変動対策より大切なこと

一部の投資家は、マスクはXに執着するあまりテスラの経営を置き去りにしていると不満を募らせている。

昨年11月にリベラル派のメディア監視団体メディア・マターズ・フォア・アメリカ(MMFA)が、X上でヒトラーやナチスを賛美する投稿と並んで表示される広告について指摘をし、多くの大手企業が広告掲載を中止した。

マスクはXを攻撃したとして数日後にMMFAを提訴。法廷闘争で資金難に陥ったMMFAは人員削減を余儀なくされ、マスクとトランプ、そして、彼らが監視していたMAGA(アメリカを再び偉大に)系メディアは喜んでいるようだ。

今年4月にマスクは著名な投資家や経営者を集めた反バイデン・反民主党の夕食会に携わり、出席者の一部は6月にもシリコンバレーでトランプ支持の資金集めイベントを開催した。マスクも近く、トランプと共同でX上の「タウンホール」ミーティングを計画している。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエル首相らに逮捕状、ICC ガザで戦争犯罪容

ビジネス

貿易分断化、世界経済の生産に「相当な」損失=ECB

ビジネス

米中古住宅販売、10月は3.4%増の396万戸 

ビジネス

米新規失業保険申請は6000件減の21.3万件、4
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中