最新記事
スパイ

ロシアで拘束のWSJ記者が出廷、CIA指示で機密情報収集と検察

2024年6月27日(木)11時03分

6月26日、 スパイ罪でロシアに1年余り拘束されている米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のエバン・ゲルシコビッチ記者の裁判が開かれ、検察は、ゲルシコビッチ被告が米中央情報局(CIA)のためにロシア防衛企業に関する機密情報を収集した証拠があると述べた。写真は同日、エカテリンブルクの裁判所に出廷した同記者(2024年 ロイター/Evgenia Novozhenina)

スパイ罪でロシアに1年余り拘束されている米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のエバン・ゲルシコビッチ記者の裁判が26日開かれ、検察は、ゲルシコビッチ記者が米中央情報局(CIA)のためにロシア防衛企業に関する機密情報を収集した証拠があると述べた。

ミカエル・オズドエフ検事は記者団に「ゲルシコビッチ記者がCIAの指示を受け、スベルドロフスク州で防衛企業の軍用装備の生産と修理に関する機密情報を収集したことが立証され文書化された」と述べた。裁判は非公開で行われた、次回は8月13日に開かれる予定。有罪となれば最高20年の刑に処せられる。

 

在ロシア米国大使館は、ロシア側がゲルシコビッチ記者のスパイ容疑を裏付ける証拠を一切示しておらず、事件はクレムリンが政治目的達成のために米国民を利用したものだと指摘した。

ゲルシコビッチ氏は2023年3月29日にエカテリンブルクでロシア連邦保安庁(FSB)によって逮捕され、以来、モスクワの刑務所で1年4カ月近く勾留されている。

裁判はエカテリンブルクで開かれた。開廷前、報道陣に撮影が認められた。ゲルシコビッチ氏はオープンネックのシャツを着てガラス張りのボックスのような小部屋の中で立っていた。かすかに微笑み、仲間の姿を認めるとうなずいた。

米ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は記者団に対し、ゲルシコビッチ氏について「米国政府に雇われたことはなく、スパイでもない。ジャーナリズムは犯罪ではなく、そもそも勾留されるべきではなかった。ロシアは勾留継続を正当化できなかった」と語り、「単に交渉の材料として利用されている」という認識を示した。

また米国務省のマシュー・ミラー報道官は26日、ゲルシコビッチ氏のほか、同じくロシアで拘束されている元米海兵隊員ポール・ウィーラン氏の解放に向け、引き続き非公式に取り組むとした。

ミラー氏によると、米領事官はゲルシコビッチ氏の公聴会には出席したが、裁判自体には出席できなかった。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20241126issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、FDA長官に外科医マカリー氏指名 過剰

ワールド

トランプ氏、安保副補佐官に元北朝鮮担当ウォン氏を起

ワールド

トランプ氏、ウクライナ戦争終結へ特使検討、グレネル

ビジネス

米財務長官にベッセント氏、不透明感払拭で国債回復に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでいない」の証言...「不都合な真実」見てしまった軍人の運命
  • 4
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 5
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 6
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 7
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 10
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 9
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 10
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中