ロシアで拘束のWSJ記者が出廷、CIA指示で機密情報収集と検察
6月26日、 スパイ罪でロシアに1年余り拘束されている米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のエバン・ゲルシコビッチ記者の裁判が開かれ、検察は、ゲルシコビッチ被告が米中央情報局(CIA)のためにロシア防衛企業に関する機密情報を収集した証拠があると述べた。写真は同日、エカテリンブルクの裁判所に出廷した同記者(2024年 ロイター/Evgenia Novozhenina)
スパイ罪でロシアに1年余り拘束されている米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のエバン・ゲルシコビッチ記者の裁判が26日開かれ、検察は、ゲルシコビッチ記者が米中央情報局(CIA)のためにロシア防衛企業に関する機密情報を収集した証拠があると述べた。
ミカエル・オズドエフ検事は記者団に「ゲルシコビッチ記者がCIAの指示を受け、スベルドロフスク州で防衛企業の軍用装備の生産と修理に関する機密情報を収集したことが立証され文書化された」と述べた。裁判は非公開で行われた、次回は8月13日に開かれる予定。有罪となれば最高20年の刑に処せられる。
在ロシア米国大使館は、ロシア側がゲルシコビッチ記者のスパイ容疑を裏付ける証拠を一切示しておらず、事件はクレムリンが政治目的達成のために米国民を利用したものだと指摘した。
ゲルシコビッチ氏は2023年3月29日にエカテリンブルクでロシア連邦保安庁(FSB)によって逮捕され、以来、モスクワの刑務所で1年4カ月近く勾留されている。
裁判はエカテリンブルクで開かれた。開廷前、報道陣に撮影が認められた。ゲルシコビッチ氏はオープンネックのシャツを着てガラス張りのボックスのような小部屋の中で立っていた。かすかに微笑み、仲間の姿を認めるとうなずいた。
米ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は記者団に対し、ゲルシコビッチ氏について「米国政府に雇われたことはなく、スパイでもない。ジャーナリズムは犯罪ではなく、そもそも勾留されるべきではなかった。ロシアは勾留継続を正当化できなかった」と語り、「単に交渉の材料として利用されている」という認識を示した。
また米国務省のマシュー・ミラー報道官は26日、ゲルシコビッチ氏のほか、同じくロシアで拘束されている元米海兵隊員ポール・ウィーラン氏の解放に向け、引き続き非公式に取り組むとした。
ミラー氏によると、米領事官はゲルシコビッチ氏の公聴会には出席したが、裁判自体には出席できなかった。
2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら