最新記事
水中ドローン

衛星画像で発見された米海軍の極秘潜水艇「マンタレイ」は、中ロに対抗する無人の自律型ドローン

Satellite Images Show Secretive Underwater Drone Docked at Navy Base

2024年6月26日(水)18時59分
ジーザス・メサ

南カリフォルニアの海軍基地に停泊しているのが捉えられた最新型の無人潜水艇「マンタレイ」 GOOGLE EARTH / MAXAR

<ベールを抜いだ無人潜水艇は、マンタレイのように「翼」を持ち、水中をグライダーのように滑空する最新のテクノロジーを満載している>

米海軍が極秘で開発してきた無人潜水艇、通称「マンタレイ」が、最近のグーグルマップの最新の衛星画像で、カリフォルニア州ポートフエネメ海軍基地に停泊しているのが発見された。
米ノースロップ・グラマン社が開発したこのハイテク潜水艇は、人間の介入なしに長時間の監視・輸送任務を遂行できる最先端の潜水艇開発を目指す海軍プロジェクトの一部だ。

巨大な「翼」をはためかせて海中を遊泳するマンタレイにちなんで名づけられたこの潜水艇は、「スターウォーズ」に登場する戦闘機にも似ている。

newsweekjp_20240626093311.jpg
NORTHROP GRUMMAN


ノースロップ・グラマンによると、マンタレイは人間の関与を必要としない自律型兵器であるばかりでなく省エネ機能も備えており、海底に錨を下ろして「冬眠」することもできる。

【動画】水中を滑空し、「冬眠」もできるマンタレイ

モジュール構造のマンタレイは、標準的な貨物コンテナで容易に輸送でき、世界中の遠征任務に赴いて迅速に組み立てることができる。

海軍は2024年に入ってから、カリフォルニア州南部の沖合で、マンタレイの演習を成功裏に終えたと報告している。これは、グーグルマップでマンタレイが確認された場所と一致している。この演習では、浮力、プロペラ、制御など、すべての推進、操舵モードを用いて潜水運用を行い、マンタレイの流体力学的性能が試された。

一部の報道によれば、海軍はマンタレイのテストに3カ月以上を費やした。

米国防高等研究計画局(DARPA)でこのプロジェクトを担当するカイル・ウェルナー博士は、「実物大のマンタレイのテストが成功したことで、現場で貨物モジュールを素早く組み立てて運用する準備が整った」と評価する。

米国防総省は、無人潜水機技術と、その戦場投入への関心をますます強めている。防衛アナリストはマンタレイの開発について、ロシアと中国をはじめとする他国における無人潜水艇技術の進歩に対抗するための戦略的な動きと捉えている。

ロシア海軍は昨年、最大時速100ノットと称する魚雷型の無人小型潜水機「ポセイドン」を30機入手する計画を発表した。一方中国は2024年、マレーシアの首都クアラルンプールで開催された展示会「ディフェンス・サービス・アジア(DSA)」で、内部構造がわかるように切断されたポセイドン型ドローンの縮尺模型を披露した。

(翻訳:ガリレオ)

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

シリア新暫定政府に少数派が入閣、社会労働相には女性

ワールド

タイ、対米貿易黒字200億ドルに削減模索 農産物な

ワールド

マスク氏、州裁判官選挙に介入 保守派支持者に賞金1

ワールド

米テキサス・ニューメキシコ州のはしか感染20%増、
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    「炊き出し」現場ルポ 集まったのはホームレス、生…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 9
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 10
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 7
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 8
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 9
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中