最新記事
中国

中国が見せつける潜水艦兵器の「威力と精度」 魚雷で退役艦を爆破

Video Shows Chinese Navy Blowing Up Decommissioned Ship With Torpedo

2024年6月21日(金)13時10分
アディール・ブラール
潜水艦に魚雷で爆破される074型玉海型揚陸艇 @AlexLuck9-X

潜水艦に魚雷で爆破される074型玉海型揚陸艇 @AlexLuck9-X

<中国が公開した退役艦の撃沈実験の動画は、潜水艦兵器の威力と精度を見せつけるデモンストレーションだった>

中国は、退役した海軍の艦船が潜水艦から発射された魚雷によって撃沈される様子を映した動画を公開した。

【動画】中国の退役艦が魚雷で爆破される瞬間

中国国営新華社通信は24日、「現在、わが軍の魚雷攻撃とミサイル攻撃が、歴史的な進歩を達成したことが、海上で検証された」と報じた。「これは、わが軍の戦闘能力が強化され、戦闘区域が拡大し、必要とされるときに、さらなる自信をもって行動できるようになったことを意味する」

この映像は、中国中央電視台(CCTV)が6月16日に中国のソーシャルメディア微博(ウェイボー)に投稿したもので、沈没訓練(SINKEX)や、074型玉海型揚陸艇が爆破される同様の訓練の場面も含まれている。

4月23日の中国海軍創設70周年記念式典の最中に撮影されたものとみられており、潜水艦の兵器能力を垣間見ることができる貴重な映像だ。

ある専門家によると、動画のなかで魚雷に攻撃されているのは、退役した074型揚陸艦だという。

「074型揚陸艇がSINKEXに使用され、人民解放軍海軍の潜水艦から魚雷を受けた」と中国海軍の専門家アレックス・ラックはXに投稿した。

この動画は、魚雷の爆発と、それに続いて、船が浮き上がる様子を捉えている。この中国の潜水艦兵器の威力と精度をまざまざと見せつけるデモンストレーションだ。


世界で活動する海軍へ

中国の習近平国家主席は、人民解放軍(PLA)海軍を、外洋を横断して世界的に活動できる外洋海軍に変貌させるというビジョンを掲げており、それには、水中戦用の強力な潜水艦艦隊の開発も含まれている。

中国は現在、船体の数で世界最大の海軍を誇っており、どの国よりも多くの艦艇や商船を進水させ続けている。

潜水艦と水上艦の艦隊の拡大は、10年後までにこの一帯を支配することができる近代的な戦闘力を構築するという習の目標に沿ったものだ。

防衛情報専門サイト、ウォー・ゾーンは、退役艦の爆破のために使われたのは、航跡追尾魚雷だったと推測した。その根拠として、着弾地点と、着弾時に標的となった退役艦が、自力または曳航されて航行中だったことをあげている。

「航跡追尾魚雷は、あらゆる海軍にとって大いなる脅威だ。艦の航跡に誘導されて、文字通り泳ぎながら艦尾(重要な部品が集中的に配置されていることが多い)に近づいて爆発させる」と、ウォー・ゾーンは6月16日に報じている。

「そのサイズと任務の範囲からして074型を標的艦に選ぶとは興味深い。これに似た揚陸艦を追いかけて破壊することが、中国海軍の攻撃型潜水艦の任務の範囲内であることは確かだ」とウォー・ゾーンは報じた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:AIで急増する米国の電力需要、原発活用の

ワールド

焦点:中国が定年引き上げ、それでも年金問題解決には

ワールド

イスラエル、空爆でヒズボラ指導者ナスララ師殺害 イ

ワールド

石破自民新総裁、林官房長官続投の意向 財務相は加藤
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:羽生結弦が能登に伝えたい思い
特集:羽生結弦が能登に伝えたい思い
2024年10月 1日号(9/24発売)

被災地支援を続ける羽生結弦が語った、3.11の記憶と震災を生きる意味

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    エコ意識が高過ぎ?...キャサリン妃の「予想外ファッション」に世界が驚いた瞬間が再び話題に
  • 2
    漫画、アニメの「次」のコンテンツは中国もうらやむ日本の伝統文化? カギは大手メディアが仕掛ける「伝検」
  • 3
    ウクライナ軍、ドローンに続く「新兵器」と期待する「ロボット犬」を戦場に投入...活動映像を公開
  • 4
    【クイズ】「バッハ(Bach)」はドイツ語でどういう…
  • 5
    ワーテルローの戦い、発掘で見つかった大量の切断さ…
  • 6
    メーガン妃が編集したヴォーグ誌「15人の女性をフィ…
  • 7
    キャサリン妃の「外交ファッション」は圧倒的存在感.…
  • 8
    南洋のシャチが、強烈な一撃でイルカを「空中に弾き…
  • 9
    中国で牛乳受難、国家推奨にもかかわらず消費者はそ…
  • 10
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢…
  • 1
    漫画、アニメの「次」のコンテンツは中国もうらやむ日本の伝統文化? カギは大手メディアが仕掛ける「伝検」
  • 2
    キャサリン妃の「外交ファッション」は圧倒的存在感...世界が魅了された5つの瞬間
  • 3
    ワーテルローの戦い、発掘で見つかった大量の切断された手足と戦場の記憶
  • 4
    白米が玄米よりもヘルシーに
  • 5
    レザーパンツで「女性特有の感染症リスク」が増加...…
  • 6
    エコ意識が高過ぎ?...キャサリン妃の「予想外ファッ…
  • 7
    メーガン妃に大打撃、「因縁の一件」とは?...キャサ…
  • 8
    先住民が遺した壁画に「当時の人類が見たはずがない…
  • 9
    50年前にシングルマザーとなった女性は、いま荒川の…
  • 10
    中国で牛乳受難、国家推奨にもかかわらず消費者はそ…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 3
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレイグの新髪型が賛否両論...イメチェンの理由は?
  • 4
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 5
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
  • 6
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
  • 7
    中国の製造業に「衰退の兆し」日本が辿った道との3つ…
  • 8
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 9
    国立西洋美術館『モネ 睡蓮のとき』 鑑賞チケット5組…
  • 10
    無数のハムスターが飛行機内で「大脱走」...ハムパニ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中