最新記事
フランス

優秀だが鼻につく男の「開き直り」...マクロンの電撃解散2つの狙いとは?

MACRON’S BIG GAMBLE

2024年6月17日(月)14時20分
ザキ・ライディ(元フランス首相顧問)

右派政党は決裂の危機に瀕している。共和党では右派陣営が国民連合との連携を呼びかけ、党内で猛反発を招いた。フランスの政局は大混乱の瀬戸際にある。

失うものは何もないと開き直ったマクロンはポーカーでいう「オールイン」、イチかバチかの賭けに出た。

自分が行動を起こせば巻き返しは可能だと彼が考えるのは、今に始まったことではない。マクロンは常に自分が一番で、政治は彼を中心に回っていると思い込んでいる。

加えてマクロンの予想では、国民連合が総選挙に勝利し政権を取れば、国民は次の大統領選挙の前に極右政党の本性を知ることになる。政権運営の重責を初めて担う国民連合は、支持者の期待に応えられないかもしれない。

27年の大統領選にルペンが敗れるなら、マクロンは祖国に尽くしたと胸を張り、悔いなく大統領の座を降りることができる。だが賭けが裏目に出たら? 既に傷の付いたマクロンのレガシーは、さらなる大打撃を被るだろう。

©Project Syndicate

newsweekjp_20240617035441.jpgザキ・ライディ
ZAKI LAÏDI
パリ政治学院教授。ジュネーブ大学などでも客員研究員を務める。専門はグローバル政治と国際関係論。ジョセップ・ボレル欧州委員会副委員長の特別顧問なども兼ねる。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

豪当局、厳格な住宅ローン規制維持 雇用市場減速を警

ワールド

台湾の北に中国気球1機、半年ぶり飛来=国防部

ワールド

ウルグアイ大統領選、左派の野党候補オルシ氏が勝利 

ワールド

英国の労働環境は欧州最悪レベル、激務や自主性制限で
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではなく「タイミング」である可能性【最新研究】
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 5
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 9
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 10
    「典型的なママ脳だね」 ズボンを穿き忘れたまま外出…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 10
    2人きりの部屋で「あそこに怖い男の子がいる」と訴え…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 6
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 7
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中