最新記事
韓国

「韓国は詐欺大国」の事情とは

2024年5月20日(月)17時30分
佐々木和義

「ほとんどの人は信用できる」と回答した韓国人は23%

22年に実施された国際調査で「ほとんどの人は信用できる」と回答した韓国人は世界平均の30%を下回る23%だった。自国民より日本人を信用するという韓国人は多く、日本人を装った詐欺師や詐欺を働く日本人もいる。韓国人相手に気を張っている日本人が日本人に会うと気を許して騙されやすいという人もある。そう話す人も詐欺師まがいのケースがあるが、かくいう筆者も詐欺師に遭ったことがある。

数年前に書籍を出版した際、出版話を持ち込んできた在日3世を名乗る自称エージェントが詐欺師だった。筆者が知らない間に出版契約を結んで印税の半分近くを着服した。警察は韓国の法律上、横領になると話したが複数の韓国人から訴えられていたようだ。日本に逃亡した可能性が濃厚になり捜査が見送られた。

今年2月、ソウル東部地裁は「財閥3世」を装って詐欺行為を行ったチョン・チョンジョ被告に懲役12年の実刑判決を言い渡した。最高裁の量刑基準の上限である懲役10年6か月を上回る重刑だった。チョン被告は大手財閥の後継者だと詐称して「財閥だけが知る投資チャンスを提供する」と嘘をつき、27人から30億7800万ウォン(約3億4800万円)を騙し取った。また著名な女性と婚約していたが、捜査の過程で性別を偽っていたことが判明した。

国や警察と詐欺師のいたちごっこ

「ロマンス詐欺」も増えている。警察が今年2月と3月に受理したロマンス詐欺は185件、被害総額188億ウォンに達している。韓国の金融機関はボイスフィッシング被害者から要請を受けたら直ちに口座を停止しなければならないが、SNSを使った詐欺は対象外で、国会で対策が審議されている。

冒頭で書いたチョンセ詐欺の新たな手口が現れた。相場より安価な不動産を相場通りの保証金で賃貸して逆鞘を得る「ギャップ詐欺」で、ソウル警察は5月2日、首都圏で110億ウォンを荒稼ぎした組織の構成員や関わった不動産業者など119人を検挙した。

取締りを強化すると新手の詐欺が誕生し、法律を作っても新手の詐欺が誕生する。国や警察と詐欺師のいたちごっこが終わることはない。

20250121issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年1月21日号(1月15日発売)は「トランプ新政権ガイド」特集。1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響を読む


※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

尹大統領の逮捕状発付、韓国地裁 本格捜査へ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 8
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 9
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 10
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中